ある朝、喉に鋭い痛みを感じて目が覚めたとき、私は直感的に「これは普通の風邪ではない」と悟りました。検温すると三十八度五分。数日前に会った友人が陽性だったとの連絡もあり、状況は明白でした。しかし、私は近所の発熱外来の現状を知っていました。真冬の寒空の下、プレハブの待合室で数時間も待たされ、ようやく診察を受けても処方されるのは解熱剤だけという話です。そこで私は、あえて病院に行かない道を選びました。幸い、私は持病のない三十代で、以前から万が一の備えとして市販の検査キットと解熱剤、そして一週間分の食料を備蓄していました。まず最初に行ったのは、同居する家族との完全な隔離です。寝室に閉じこもり、トイレ以外は一歩も出ない生活を始めました。最初の二日間は、今までに経験したことのないような激しい喉の痛みと倦怠感に襲われ、何度も病院へ電話しようかと迷いが生じました。しかし、パルスオキシメーターの数値が九十七パーセントで安定していることを見て、自分に「大丈夫、体の中で免疫が戦っている証拠だ」と言い聞かせました。病院へ行かないことで得られた最大のメリットは、体力の消耗を防げたことです。もしあの激痛の中で着替えて外出し、長い待ち時間に耐えていたら、もっと症状が悪化していたかもしれません。食事はドアの前に置いてもらった経口補水液とゼリー飲料、レトルトのお粥で繋ぎました。三日目の夜、ようやく熱が三十七度台に下がり始めたとき、暗いトンネルを抜けたような安堵感を覚えました。病院へ行かなかったからといって、孤独だったわけではありません。自治体のホームページを熟読し、どのような症状が出たら救急車を呼ぶべきかのチェックリストを常に枕元に置いていました。結局、五日目には平熱に戻り、喉の痛みも消えました。私の経験から言えることは、病院へ行かない選択をするならば、徹底した準備と、客観的な数値による自己管理が不可欠だということです。自分の体の悲鳴に耳を傾けつつも、データに基づいて冷静に判断する。それが、医療機関を混乱させず、自分自身も守るための、コロナ禍における新しい闘病の形なのだと実感しました。