それは、ある寒い朝のことでした。いつも通り二階の寝室から階段を下りようとした瞬間、右膝の奥の方でピリッとした鋭い痛みが走りました。最初は「少し寝違えたのかな」程度に軽く考えていたのですが、その日を境に、駅の階段やちょっとした段差を通るたびに、膝がガクッと崩れるような不安感と痛みがつきまとうようになったのです。私はもともと病院が苦手で、湿布を貼っておけばそのうち治るだろうと高を括っていました。しかし、一週間が過ぎ、二週間が過ぎても痛みは引くどころか、夜寝ている時にも膝が重だるく疼くようになり、大好きな趣味であるウォーキングも中断せざるを得なくなりました。インターネットで「膝が痛い、何科」と検索すると、真っ先に出てくるのは整形外科という文字です。分かってはいたものの、やはり「老化ですね」と言われるのが怖くて、なかなか足が向きませんでした。しかし、友人に「膝を悪くして歩けなくなったら、それこそ一気に老け込んでしまうよ」と諭され、ようやく重い腰を上げて近所の整形外科クリニックを受診することにしたのです。病院の待合室は、私と同じように膝や腰を労わっている方々で溢れており、自分だけではないのだと少しだけ安心しました。名前を呼ばれて診察室に入ると、先生は丁寧に私の歩き方を観察し、膝の曲げ伸ばしや腫れの有無をチェックしてくれました。その後、レントゲン撮影を行いました。結果が出るまでの時間はとても長く感じましたが、戻ってきた診察室で先生が見せてくれた画像には、驚くほどはっきりと自分の膝の現状が写っていました。先生の説明によれば、私の右膝は「初期の変形性膝関節症」とのことでした。軟骨が少しずつ磨り減り、骨同士が近づくことで炎症が起きているというのです。ショックではありましたが、同時に「原因が分かった」という安堵感の方が勝っていました。先生は「まだ初期ですから、手術の必要はありません。筋力を鍛え、適切な治療を行えば、また元通りウォーキングも楽しめますよ」と力強く言ってくださいました。その日から、痛み止めの処方と並行して、理学療法士さんによるリハビリテーションが始まりました。膝を支える太ももの筋肉を鍛える簡単なエクササイズや、正しい歩き方の指導を受けるうちに、あんなに怖かった階段の昇降が少しずつ楽になっていくのを実感しました。もしあの時、意地を張って病院に行かずに放置していたら、今頃はもっと深刻な状態になっていたかもしれません。膝の痛みを感じた時、何科に行くべきか迷っている時間が一番もったいないのだと、今の私は断言できます。専門の病院で今の自分の状態を正確に知ることは、決して怖いことではなく、未来の自分を守るための大切な第一歩なのです。今ではまた、以前のように軽やかな足取りで散歩を楽しめるようになり、健康のありがたさを膝の痛みと共に噛み締めています。
階段の上り下りで膝が痛み出した私が整形外科へ行った記録