訪問診療・看護・介護サービスの選び方と利用法

医療
  • かかとの後ろ側が痛い、アキレス腱のトラブル

    医療

    かかとの痛みが、足の裏側ではなく、かかとの「後ろ側」、ちょうどアキレス腱が付着しているあたりに生じる場合、それは「アキレス腱」そのものや、その周辺組織のトラブルが原因である可能性が高いです。アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)とかかとの骨(踵骨)をつなぐ、体の中で最も太くて強靭な腱です。歩いたり、走ったり、ジャンプしたりする際に、地面を蹴り出すための重要な役割を担っています。このアキレス腱周辺の痛みで、まず考えられるのが「アキレス腱付着部炎」です。これは、アキレス腱がかかとの骨に付着する部分で、使いすぎ(オーバーユース)による繰り返しのストレスによって、微細な損傷と炎症が生じる状態です。ランニングなどのスポーツ選手によく見られますが、普段あまり運動しない人でも、硬い靴を履いて長時間歩いたりすることで発症することがあります。症状は、運動の開始時に痛みが強く、体が温まると少し楽になるものの、運動後に再び痛みが強くなるのが特徴です。かかとの後ろ側を押すと、限局した強い痛みがあります。次に、「アキレス腱周囲炎」は、アキレス腱そのものではなく、腱を包んでいる「パラテノン」という薄い膜に炎症が起こる状態です。アキレス腱の周辺が腫れぼったくなり、動かすとギシギシとした感じ(轢音)がすることもあります。また、かかとの骨の後ろ側とアキレス腱の間には、「滑液包」という、潤滑油の入った袋があり、これがクッションの役割を果たしています。靴のかかと部分の硬い縁(ヒールカウンター)が、この滑液包を圧迫し続けることで炎症が起こるのが「アキレス腱滑液包炎」です。特に、女性が新しいパンプスなどを履いた時に起こりやすいです。治療は、いずれの疾患も、まずは原因となっている運動や動作を休止し、安静を保つことが基本です。痛みが強い時期には、アイシングや消炎鎮痛薬の内服・外用が有効です。そして、痛みが和らいだら、ふくらはぎの筋肉のストレッチングを丁寧に行い、アキレス腱への負担を減らすことが再発予防の鍵となります。

  • 子どもの蕁麻疹、受診の目安と診療科

    医療

    ある日突然、子どもの体に、蚊に刺されたような、赤くて盛り上がった発疹(膨疹)がいくつも現れる。強いかゆみを伴い、地図のように広がったり、出たり消えたりを繰り返す。これは、多くの子どもが経験する皮膚の病気、「蕁麻疹(じんましん)」の典型的な症状です。その原因は、特定の食べ物や薬によるアレルギー、ウイルス感染、虫刺され、皮膚への物理的な刺激など、非常に多岐にわたります。ほとんどの場合、蕁麻疹は数時間から1日以内に自然に消える一過性のもの(急性蕁麻疹)であり、命に関わることは稀です。しかし、中には重篤なアレルギー反応のサインであったり、何らかの病気が隠れていたりする可能性もあります。そのため、保護者としては、「このまま様子を見ていて良いのか、それとも病院に連れて行くべきか」という受診の目安を知っておくことが非常に重要になります。まず、子どもの蕁麻疹で受診すべき診療科は、皮膚の専門家である「皮膚科」または、子どもの病気全般を診てくれるかかりつけの「小児科」です。どちらの科でも、適切な初期対応が可能です。受診を判断する上で最も重要なポイントは、蕁麻疹以外の症状、特に「呼吸器症状」や「消化器症状」を伴っているかどうかです。もし、蕁麻疹と共に、息が苦しそう、顔色が悪い、ぐったりしているといった症状が見られた場合は、アナフィラキシーという緊急性の高い状態の可能性があるため、様子を見ずに直ちに救急病院を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。この記事シリーズでは、蕁麻疹の症状のレベル別に、家庭での対処法と、医療機関を受診すべき具体的な目安について詳しく解説していきます。

  • 手足の深い切り傷、機能障害を伴うなら「整形外科」

    医療

    包丁で指を深く切ってしまった、あるいはガラスの破片が腕に突き刺さった。このような、手や足の「深い」切り傷で、特に注意が必要なのは、皮膚の下にある重要な組織、すなわち「神経」「腱」「血管」を損傷している可能性です。そして、これらの組織の損傷を伴う切り傷の治療を専門とするのが、「整形外科」です。整形外科は、骨や関節だけでなく、四肢(手足)を構成する全ての組織、つまり筋肉、腱、靭帯、神経、血管の病気や怪我を扱う専門家です。手足の切り傷で、以下のような症状が見られる場合は、迷わず整形外科を受診してください。まず、最も重要なサインが「神経損傷」の兆候です。具体的には、「傷口よりも先の部分(指先など)の感覚が鈍い、しびれている、触っても感じない」といった感覚障害や、「指がうまく動かせない、特定の動きができない」といった運動麻痺です。例えば、手のひら側を切って、指が曲げられなくなったら屈筋腱の損傷、手の甲側を切って、指が伸ばせなくなったら伸筋腱の損傷が疑われます。これらの神経や腱の損傷は、自然に治ることはなく、放置すると、指の機能に永続的な後遺症を残してしまう危険性があります。そのため、顕微鏡を使いながら、髪の毛よりも細い糸で神経や腱を縫い合わせる「マイクロサージャリー」という、非常に専門的で繊細な手術が必要となります。整形外科、特に「手の外科」や「足の外科」を専門とする医師は、これらの手術のエキスパートです。次に、「血管損傷」の兆候にも注意が必要です。傷口から、拍動性の鮮血(動脈性出血)が噴き出すように出ている場合や、傷口よりも先の部分が、白っぽく、冷たくなっている場合は、主要な動脈が損傷している可能性があります。これも、緊急の血管吻合手術が必要となる状態で、放置すれば組織が壊死してしまう危険性があります。整形外科では、まず傷の深さを評価し、神経や腱の機能を入念にチェックします。そして、これらの重要な組織の損傷が疑われる場合は、手術室で、麻酔をかけた上で、傷口を広げて内部を詳しく観察し(創内検索)、損傷があれば、その場で修復手術を行います。手足の機能回復を最優先に考えるなら、整形外科への受- chíは不可欠です。

  • 「夜間・休日でも受診を」アナフィラキシーの危険な兆候

    医療

    子どもの蕁麻疹で、最も警戒しなければならないのが、重篤なアレルギー反応である「アナフィラキシー」の初期症状として、蕁麻疹が現れているケースです。アナフィラキシーは、アレルゲン(アレルギーの原因物質)が体内に入ってから、数分から数時間以内に、複数の臓器に全身性の激しいアレルギー症状が起こる、命に関わる非常に危険な状態です。そのため、以下に挙げるような、蕁ímav疹以外の「危険な兆候」が一つでも見られた場合は、絶対に様子を見ず、夜間や休日であっても、直ちに救急外来を受診するか、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。アナフィラキシーを疑うべき最も重要なサインは、「呼吸器系の症状」です。具体的には、「息が苦しそう、呼吸が速い」「咳が止まらない、声がかすれている」「犬が吠えるような咳(犬吠様咳嗽)や、息を吸う時にゼーゼー、ヒューヒューという音がする(喘鳴・ストライダー)」といった症状です。これらは、喉や気管の粘膜が腫れあがり、気道が狭くなっていることを示唆しており、窒息の危険性がある緊急事態です。次に、「循環器系の症状」です。「顔色が悪く、唇が青紫色になっている(チアノーゼ)」「ぐったりしていて、意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い」「脈が速くて弱い」といった症状は、血圧が急激に低下し、ショック状態に陥っているサインです。また、「消化器系の症状」も、重要な兆候です。「繰り返し吐き続ける」「我慢できないほどの激しい腹痛を訴える」といった症状が、蕁麻疹と同時に現れた場合も、アナフィラキシーの一部である可能性があります。さらに、蕁麻疹が、皮膚だけでなく、「まぶたや唇、顔全体が、パンパンに腫れあがる(血管性浮腫)」といった、粘膜の強い腫れを伴う場合も、気道の腫れに移行する危険性があるため、注意が必要です。これらの症状は、特定の食べ物(卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツなど)を食べた後や、ハチに刺された後、薬を飲んだ後などに現れることが多いです。子どもの様子が「いつもと違う」「何かおかしい」と保護者が感じた直感を信じ、迅速に行動することが、子どもの命を救うことに繋がります。

  • 喉の奥の白い水ぶくれはヘルパンギーナ

    医療

    夏の時期に、突然の高熱と共に、喉に突き刺すような激しい痛みが現れ、口の中を覗くと、喉の奥の方に白い口内炎のようなブツブツがいくつかできている。これは、いわゆる「夏風邪」の代表格である「ヘルパンギーナ」の典型的な症状です。ヘルパンギーナは、主にコクサッキーウイルスA群などのエンテロウイルスによって引き起こされるウイルス性の感染症で、乳幼児を中心に流行します。ヘルパンギーナの喉のブツブツは、その経過に特徴があります。まず、喉の奥、特にのどちんこの周辺や上顎の柔らかい部分(軟口蓋)に、赤い小さな点々が現れます。そして、その中心部がすぐに1~2ミリ程度の小さな水ぶくれ(小水疱)に変化します。この水疱が、ヘルパンギーナの「白いブツブツ」の正体です。この水疱は非常に壁が薄くてもろいため、すぐに破れて、中心がえぐれた浅い潰瘍になります。この潰瘍が複数できるため、食べ物や飲み物、さらには唾液を飲み込むことさえ困難になるほどの、激しい痛みを引き起こすのです。溶連菌感染症のように喉全体が真っ赤になるというよりは、比較的正常な粘膜の中に、白い潰瘍が点在して見えるのが特徴です。ウイルスが原因であるため、抗生物質は効きません。治療は、高熱や喉の痛みに対する解熱鎮痛薬などを用いた対症療法が中心となります。何よりも大切なのは、喉の痛みによる脱水症状を防ぐことです。オレンジジュースなどの酸味の強いものや、熱いもの、味の濃いものは避け、ゼリーやプリン、アイスクリーム、冷たいスープなど、喉ごしが良く、刺激の少ないものを与える工夫が必要です。つらい症状は通常、1週間程度で自然に回復に向かいます。

  • RSウイルスは再感染する?5歳児がかかる理由

    医療

    「RSウイルスは、2歳までにほとんどの子どもが一度はかかる病気」とよく言われます。では、なぜ5歳の子どもが、再びRSウイルスにかかってしまうのでしょうか。その理由は、RSウイルスに対する免疫のつき方に、大きな特徴があるからです。結論から言うと、RSウイルスは、一度感染しても、生涯にわたって何度も「再感染」を繰り返すウイルスです。麻疹(はしか)やおたふくかぜのように、一度かかれば終生免疫が獲得できるウイルスとは、全く性質が異なります。RSウイルスに初めて感染すると、体はそのウイルスに対する抗体を作り出しますが、その免疫はあまり強力ではなく、また、長くは持続しません。そのため、数ヶ月から数年経つと、再び同じRSウイルスに感染してしまうのです。しかし、再感染を繰り返すたびに、症状は徐々に軽くなっていくのが一般的です。初めて感染する乳児期、特に生後6ヶ月未満では、細気管支炎や肺炎といった重篤な下気道感染症を引き起こすリスクが高いですが、2回目、3回目の感染となる幼児期以降では、症状は上気道(鼻や喉)にとどまり、普通の風邪と変わらない、あるいはごく軽い症状で済むことがほとんどです。5歳の子どもがRSウイルスにかかった場合、それは多くの場合、初めての感染ではなく、「再感染」であると考えられます。特に、保育園や幼稚園といった集団生活を送っている子どもは、毎年流行するRSウイルスに暴露される機会が多いため、知らず知らずのうちに何度も感染を繰り返しているのです。ただし、5歳児であっても、喘息の素因がある子どもや、免疫機能に問題がある子どもの場合は、再感染でも症状が重くなることがあるため、注意が必要です。また、RSウイルスには、A型とB型という、大きく分けて二つのタイプがあり、さらにその中でも細かく遺伝子型が分かれています。異なる型のウイルスに感染した場合は、免疫が十分に働かず、症状が比較的強く出る可能性も指摘されています。このように、RSウイルスは何度もかかるのが当たり前のウイルスです。そのため、一度かかったからと油断せず、流行シーズンには、手洗いやマスクの着用といった基本的な感染対策を、年齢に関わらず徹底することが大切です。

  • 【指の付け根】ピリピリ、ジンジン…モートン病の可能性

    医療

    歩いていると、足の指の付け根あたり、特に人差し指と中指の間、あるいは中指と薬指の間に、まるで小石を踏んでいるかのような、あるいは電気が走るような、ピリピリ、ジンジンとした鋭い痛みやしびれを感じる。このような症状がある場合、「モートン病(モートン神経腫)」の可能性があります。モートン病は、足の指へ向かう神経(趾間神経)が、指の付け根の骨(中足骨)の間で、靭帯などによって圧迫されることで生じる神経障害の一種です。神経が慢性的に圧迫されることで、神経そのものが腫れて「神経腫」というこぶのような状態になることから、この名前がついています。特に、つま先が細く、ヒールの高い靴を日常的に履く女性に多く見られるのが特徴です。ハイヒールを履くと、足の前方(前足部)に体重が集中し、指の付け根のアーチ(横アーチ)が低下して、神経が圧迫されやすくなるためです。また、扁平足や外反母趾がある人も、足の構造的なバランスが崩れているため、モートン病を発症しやすい傾向にあります。症状は、主に歩行時に現れ、靴を脱いで足を休ませると和らぐことが多いです。痛みやしびれは、圧迫されている神経が支配する隣り合った2本の指(例えば中指と薬指)に広がります。診断は、症状の詳しい問診と、特徴的な診察所見によって行われます。医師が、症状のある指の付け根の骨の間を、足の裏側から指で強く押すと、痛みやしびれが誘発される(ティネル様サイン)ことや、足の甲を横から圧迫すると痛みが増強されること(マルダー徴候)が、診断の重要な手がかりとなります。整形外科では、他の病気(疲労骨折など)を除外するためにレントゲン撮影を行ったり、超音波検査やMRI検査で神経の腫れを直接確認したりすることもあります。治療は、まず原因となる靴の着用を避けることが第一です。つま先にゆとりのある、ヒールの低い靴に変えるだけで、症状が劇的に改善することもあります。また、低下した横アーチをサポートするためのインソール(足底挿板)の使用も非常に有効です。痛みが強い場合には、消炎鎮痛薬の内服や、神経の圧迫を和らげるための局所麻酔薬やステロイドの注射が行われます。これらの保存的治療で効果がない難治性のケースでは、圧迫されている神経を剥離したり、神経腫そのものを切除したりする手術が検討されることもあります。

  • 5歳児のRSウイルス、その特徴的な症状とは

    医療

    RSウイルス感染症は、「乳幼児の冬風邪」の代表格として知られ、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると、細気管支炎や肺炎といった重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあるため、非常に注意が必要な病気です。しかし、このウイルスは乳幼児だけでなく、幼児期の子どもたちにも広く感染します。5歳くらいの幼児がRSウイルスに初めて、あるいは再感染した場合、その症状はどのように現れるのでしょうか。多くの場合、5歳児がRSウイルスに感染した時の症状は、0歳や1歳の乳児期に比べて、比較的軽症で済むことが多いとされています。典型的な経過としては、まず、38度前後の発熱と、水のようなサラサラとした鼻水から始まります。これは、普通の風邪の症状と非常によく似ています。その後、数日経つと、咳が出始め、次第にその咳がひどくなっていくのが特徴です。咳は、乾いたコンコンとした咳から、痰が絡んだゴホゴホ、ゼロゼロといった湿った咳に変化していくことが多く、このしつこい咳が1週間以上続くことも珍しくありません。RSウイルスの特徴は、上気道(鼻や喉)の炎症だけでなく、気管支や細気管支といった、より下気道に炎症が及びやすい点にあります。そのため、5歳児であっても、喘息の既往がある子どもや、アレルギー体質の子ども、あるいは免疫力が低下している状態の子どもの場合は、症状が重症化するリスクがあります。特に、咳と共に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった、息を吐く時に異常な音が聞こえる「喘鳴(ぜんめい)」が現れた場合は、気管支が狭くなっているサインであり、注意が必要です。症状のピークは、発症から4~6日目頃に訪れることが多く、この時期に呼吸状態が悪化しやすいとされています。ほとんどの5歳児は、対症療法と自宅でのケアで自然に回復に向かいますが、重症化のサインを見逃さないためにも、保護者の注意深い観察が何よりも大切です。

  • 水疱瘡の症状、その典型的な経過とは

    医療

    水疱瘡(みずぼうそう)は、正式には「水痘(すいとう)」と言い、「水痘・帯状疱疹ウイルス」への初感染で発症する、非常に感染力の強い病気です。特に、ワクチン未接種の子どもによく見られますが、免疫がない大人も感染します。水疱瘡の症状は、非常に特徴的な経過をたどるため、その流れを知ることは、病気を正しく理解し、適切に対処する上で非常に重要です。まず、ウイルスに感染してから症状が出始めるまでの「潜伏期間」が、約2週間(10日~21日)あります。この間は全く無症状ですが、体の中ではウイルスが増殖を始めています。そして発症は、比較的軽い発熱(37~38度程度)と、全身の倦怠感から始まることが一般的です。発熱とほぼ同時に、あるいはその1~2日後から、特徴的な「発疹」が出現し始めます。この発疹こそが、水疱瘡を診断する上での最大の鍵となります。発疹は、最初は小さな赤いブツブツ(紅斑)として、主に体幹部(お腹や背中)や顔に現れます。そして、ここからの変化が非常にスピーディーです。赤い発疹は、わずか数時間のうちに、その中心部がぷくっと盛り上がり、涙のしずくのような、みずみずしい「水ぶくれ(水疱)」に変化します。この水疱は強いかゆみを伴い、やがて中心が少しへこんで、膿を持った「膿疱(のうほう)」へと変わっていきます。そして最終的には、それが破れて乾燥し、「かさぶた(痂皮)」となって治癒に向かいます。水疱瘡の最大の特徴は、この「紅斑→水疱→膿疱→痂皮」という様々な段階の発疹が、数日間にわたって次々と新しい場所に現れ、結果的に、体の同じ場所に、これらの“新旧”の発疹が、まるで混在するように同時に見られることです。これを「発疹の混在」と呼び、医師が水疱瘡を診断する際の決定的な所見となります。

  • 皮膚の発疹を伴う肩の痛みは皮膚科へ

    医療

    肩の痛みと共に、その周辺の皮膚にピリピリ、チクチクとした痛みや、赤い発疹、水ぶくれといった症状が現れた場合、その原因は関節や筋肉ではなく、皮膚と神経の病気である可能性が非常に高いです。この場合に、まず受診すべき診療科は「皮膚科」です。その代表的な疾患が、「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」です。帯状疱疹は、多くの人が子供の頃にかかる水ぼうそう(水痘)のウイルスが原因で起こります。水ぼうそうが治った後も、そのウイルスは体内の神経節に静かに潜伏し続けています。そして、加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下した時に、潜んでいたウイルスが再び活性化し、神経を伝って皮膚に到達して、帯状疱疹として発症するのです。帯状疱疹は、体の片側の、一本の神経が支配する領域(皮膚分節)に沿って症状が出るのが大きな特徴です。肩の周辺は、首から腕へ向かう神経(頸神経や腕神経叢)が支配しているため、この領域に潜伏していたウイルスが活性化すると、肩から腕、あるいは胸にかけて、症状が現れます。最も特徴的なのは、その症状の経過です。まず、皮膚に発疹が現れる数日前から1週間ほど前に、その領域にピリピリ、チクチクとした神経痛のような痛みが先行します。この段階では、皮膚には何も異常がないため、筋肉痛や神経痛などと間違われやすいのです。そして、痛みが出始めてからしばらくすると、その場所に帯状に赤い発疹と、小さな水ぶくれが多数出現します。この水ぶくれは、強い痛みを伴い、やがて破れてかさぶたになり、治癒していきます。帯状疱疹の治療で最も重要なのは、早期診断と、抗ウイルス薬による早期治療の開始です。発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬の内服を始めると、ウイルスの増殖を抑え、皮膚症状や痛みを軽くし、治癒までの期間を短縮することができます。治療の開始が遅れると、発疹が治った後も、数ヶ月から数年にわたって頑固な神経痛が残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という、非常につらい後遺症に悩まされるリスクが高まります。したがって、体の片側に原因不明の痛みと、それに続く発疹が現れたら、自己判断せず、できるだけ早く皮膚科を受診することが極めて重要です。