訪問診療・看護・介護サービスの選び方と利用法

医療
  • 適応障害の治療にはどんな方法がある?

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    適応障害と診断された後、病院では、一体どのような治療が行われるのでしょうか。薬をたくさん飲まなければならないのか、あるいは、何か特別なことをさせられるのか。そんな、治療への不安を抱えている方もいるかもしれません。適応障害の治療は、一人一人の状況に合わせて、いくつかの方法を組み合わせる、オーダーメイドの形で行われますが、その基本となるのは、主に三つの大きな柱です。第一の、そして最も重要な柱が、「環境調整」です。適応障害は、明確なストレスの原因があって、発症する病気です。したがって、治療の最大の原則は、そのストレスの原因から、物理的、あるいは心理的に、距離を置くことです。例えば、職場の過重労働が原因であれば、残業を制限してもらったり、休職をしたりする。人間関係が原因であれば、部署の異動を願い出る、といった具体的な対策を、医師と共に考え、実行していきます。医師が発行する「診断書」は、この環境調整を、スムーズに進めるための、強力な武器となります。ストレスの原因から離れ、心と体を、安全な場所に避難させる。これが、回復への、何よりも優先されるべき、第一歩です。第二の柱が、「精神療法(カウンセリング)」です。これは、臨床心理士や、公認心理師といった、心の専門家との対話を通じて、自分自身のストレスへの、考え方や、受け止め方、そして対処法(コーピング)を、見つめ直し、学んでいく治療法です。なぜ、自分はこの状況を、これほどまでにつらく感じてしまうのか。その背景にある、自分の思考の癖(認知の歪み)に気づき、より柔軟で、現実的な考え方ができるように、サポートしてくれます。これは、再発を防ぎ、よりストレスに強い自分へと成長していくための、非常に重要なプロセスです。そして、第三の柱が、「薬物療法」です。これは、あくまで、補助的な治療と位置づけられます。不眠や、強い不安感、あるいは抑うつ気分といった、つらい症状が、日常生活に大きな支障をきたしている場合に、それらの症状を和らげ、患者さんが、安心して休養や、精神療法に取り組めるように、サポートする目的で、睡眠薬や、抗不安薬、あるいは抗うつ薬などが、必要最小限、処方されます。適応障害の治療は、決して、一方的に何かをされる、というものではありません。医師や、カウンセラーと、二人三脚で、自分に合った回復への道筋を、一緒に探していく、主体的な旅なのです。

  • その疲れは甲状腺かも!女性が知るべき受診のサイン

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    日々の仕事や家事で慢性的な疲労を感じるのは、現代社会を生きる女性にとって珍しいことではありません。しかし、どれだけ休んでも抜けない倦怠感や、これまでとは明らかに違う体の重さを感じているなら、それは単なる疲れではなく、甲状腺からの重要なサインかもしれません。甲状腺ホルモンは、いわば体の活動を調整するアクセルのような役割を担っています。このホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症」、代表的なものにバセドウ病があります。この状態になると、体は常に全力疾走しているようなもので、心臓はドキドキと速く打ち、じっとしていても汗が止まらなくなります。食欲は旺盛なのに体重はどんどん減っていき、イライラしやすくなったり、手が震えたりすることもあります。一方で、ホルモンの分泌が不足する「甲状腺機能低下症」、代表例は橋本病です。この場合、体のエネルギーが枯渇した状態になり、強烈なだるさや眠気、むくみ、寒がり、便秘といった症状が現れます。食欲がないのに体重は増え続け、気力も湧かず、うつ病と間違われることも少なくありません。これらの症状は非常に多岐にわたるため、他の病気や更年期障害、あるいは単なるストレスのせいだと見過ごされがちです。もし、ここに挙げたような症状が複数当てはまり、数週間にわたって続いているのであれば、一度専門の医療機関を受診することを強くお勧めします。特に、首の付け根あたりに腫れやしこりを感じる場合は、早めに医師に相談すべきです。受診する科は、甲状腺を専門とする「内分泌内科」が理想ですが、まずはかかりつけの「内科」で相談し、血液検査を受けることから始めても全く問題ありません。自分の体を守るため、その小さな変化を見逃さないでください。

  • 首が原因の肩の痛み?頸椎疾患と整形外科・脳神経外科

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    肩が痛い、あるいは肩がこっていると感じている時、その原因が実は肩そのものではなく、「首」にあることは少なくありません。首の骨である「頸椎」に問題が生じ、そこから出る神経が圧迫されることで、肩や腕に痛みやしびれが生じるのです。このような首に起因する症状を専門的に診察するのは、「整形外科」または「脳神経外科」です。首が原因で肩に症状が出る代表的な病気が、「頸椎椎間板ヘルニア」と「頸椎症」です。頸椎は7つの骨で構成されており、その骨と骨の間には、クッションの役割を果たす「椎間板」があります。頸椎椎間板ヘルニアは、この椎間板の一部が、後ろに飛び出して、肩や腕へ向かう神経の根元(神経根)や、脊髄そのものを圧迫する病気です。一方、頸椎症は、主に加齢によって、椎間板がすり減ったり、骨が変形してトゲ(骨棘)ができたりすることで、同様に神経を圧迫する状態です。これらの病気の特徴は、肩の痛みだけでなく、首の痛みや、肩甲骨の周りの痛み、そして腕から指先にかけて広がる「放散痛」や「しびれ」を伴うことです。首を後ろに反らしたり、痛い側に傾けたりすると、腕への痛みやしびれが強くなるのが典型的なサインです。進行すると、腕の力が入りにくくなったり(筋力低下)、感覚が鈍くなったりすることもあります。もし、腕だけでなく、足のしびれや、歩きにくさ、手の細かい動きがぎこちない(巧緻運動障害)といった症状が現れた場合は、脊髄そのものが圧迫されている「頸椎症性脊髄症」の可能性があり、より専門的な評価が必要です。整形外科や脳神経外科では、問診と神経学的な診察に加え、レントゲン撮影で頸椎の変形の有無を、MRI検査で椎間板や神経の圧迫の状態を詳細に確認して診断します。治療は、まず首の安静を保ち、消炎鎮痛薬や、神経の血流を改善する薬、しびれを和らげる薬などによる薬物療法が中心となります。首を軽く引っ張る牽引療法や、首周りの筋肉をほぐすリハビリテーションも有効です。多くはこれらの保存的治療で改善しますが、痛みが非常に強い場合や、麻痺が進行する場合には、神経の圧迫を取り除くための手術が検討されます。

  • 5歳児のRSウイルス、受診の目安と何科に行くべきか

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    5歳の子どもがRSウイルス感染症を疑う症状を見せた時、保護者としては、どのタイミングで、どの診療科を受診すればよいか、判断に迷うことがあるでしょう。ここでは、受診の適切な目安と、診療科の選び方について解説します。まず、受診すべき診療科は、子どもの病気の専門家である「小児科」が第一選択です。小児科医は、RSウイルス感染症の診断と治療に最も精通しており、子どもの年齢や発達段階に応じた適切なアドバイスをしてくれます。また、似たような症状を示す他の感染症(インフルエンザ、ヒトメタニューモウイルス感染症など)との鑑別も的確に行うことができます。次に、受診のタイミングですが、全てのケースで直ちに受診が必要なわけではありません。鼻水や軽い咳だけで、熱もなく、元気に遊んで、食事も水分も普段通りに摂れているようであれば、急いで夜間や休日に受診する必要はなく、翌日の日中の診療時間内に、かかりつけの小児科を受診するので十分です。ただし、以下のような症状が見られる場合は、診療時間外であっても、夜間・休日急病診療所や、救急外来の受診を検討すべきです。①高熱が続いている場合: 38.5度以上の熱が2日以上続く時。②水分補給が困難な場合: 咳き込みがひどくて飲めない、あるいはぐったりして、半日以上おしっこが出ていないなど、脱水症状が疑われる時。そして、最も重要な受診の目安が、前述した「呼吸状態の悪化」を示す危険なサインです。③呼吸が苦しそうな場合: 息を吐く時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がする(喘鳴)、呼吸の回数が異常に速い、息を吸う時に胸や鎖骨の上がペコペコとへこむ(陥没呼吸)、唇や顔色が悪い(チアノーゼ)。これらの呼吸困難のサインが見られた場合は、重症化している可能性が高いため、ためらわずに直ちに受訪してください。病院に行くべきか迷った場合は、#8000(小児救急電話相談)に電話して、専門家の助言を求めるのも良い方法です。適切なタイミングで医療機関を受診することが、子どもの重症化を防ぎ、安全な回復へと繋がるのです。

  • 整形外科が第一選択、四十肩・五十肩と腱板断裂

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    肩の痛みで悩む人の大多数が、まず訪れるべき診療科、それが「整形外科」です。特に、40代以降で明らかな怪我の記憶がないにもかかわらず、肩の痛みと動きの制限が現れた場合、その多くは「肩関節周囲炎」、いわゆる「四十肩・五十肩」や、「腱板断裂」といった、肩関節そのもののトラブルが原因です。まず、「四十肩・五十肩」は、加齢に伴い、肩関節を構成する骨や軟骨、靭帯、腱などが炎症を起こし、痛みや動きの制限(拘縮)が生じる病態の総称です。最初は、腕を特定の方向に動かした時にピリッとした痛みを感じる程度ですが、次第に痛みが強くなり、夜間にズキズキと痛んで眠れなくなる「夜間痛」や、髪をとかす、服を着替えるといった日常動作が困難になるほどの動きの制限が現れます。この病気は、炎症が強い「急性期」、動きが硬くなる「慢性期(拘縮期)」、そして徐々に改善していく「回復期」という経過をたどりますが、完全に治るまでには1年以上かかることも少なくありません。次に、「腱板断裂」は、肩を安定させ、腕を上げるために重要な役割を果たす「腱板」という4つの筋肉の腱が、加齢による変性や、転倒などの外傷によって断裂してしまう状態です。四十肩・五十肩と症状が非常に似ていますが、腱板断裂の場合は、腕を上げる途中で痛みや引っかかりを感じるものの、完全に上がらなくなることは少なく、むしろ上げた腕を下ろす時に力が入らずにガクンと落ちてしまう(ドロップアームサイン)といった特徴が見られます。整形外科では、まず問診と診察で肩の動きや痛みの場所を確認します。そして、レントゲン撮影で骨の状態を、MRI検査や超音波検査で腱板や関節の袋(関節包)の状態を詳細に評価し、診断を確定させます。治療は、まず痛みと炎症を抑えるための消炎鎮痛薬の内服や湿布、そして関節内へのヒアルロン酸やステロイドの注射が行われます。痛みが和らいできたら、固まった関節の動きを改善するためのリハビリテーション(運動療法)が非常に重要となります。腱板断裂で、保存的治療で改善しない場合や、活動性の高い人の場合には、断裂した腱を修復する手術が検討されることもあります。

  • 小さな子どもの切り傷、何科に連れて行くのがベスト?

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    活発に動き回る小さな子どもは、転んだり、物にぶつかったりして、切り傷を作るのが日常茶飯事です。しかし、いざ我が子が血を流している姿を見ると、親としては冷静ではいられず、パニックになってしまうこともあるでしょう。そんな時、どこに連れて行けばよいのか、子どもの切り傷における診療科選びのポイントを解説します。まず、子どもの医療全般における最初の窓口として、最も頼りになるのが、かかりつけの「小児科」です。多くの小児科では、日常的な軽い切り傷の処置(洗浄、消毒、軟膏塗布など)に対応してくれます。小児科医は、子どもの扱いに慣れているため、怖がる子どもを上手に安心させながら処置を進めてくれます。また、怪我の状況から、破傷風の予防接種が必要かどうかを判断し、適切なスケジュールで接種を行ってくれるという大きなメリットもあります。傷が浅く、出血もすぐに止まったような場合は、まずはかかりつけの小児科に電話で相談してみるのが良いでしょう。しかし、傷が深く、縫合が必要と思われる場合は、小児科では対応が難しいこともあります。そのような場合は、「形成外科」または「外科」の受診が推奨されます。特に、将来の傷跡のことを考えると、「形成外科」が最も理想的な選択肢です。形成外科医は、子どもの皮膚の特性や、成長に伴う傷跡の変化も考慮に入れた上で、できるだけきれいに治るような縫合を行ってくれます。暴れる子どもの場合は、安全に処置を行うために、鎮静剤を使用したり、場合によっては全身麻酔が必要になったりすることもありますが、形成外科はそのような対応にも慣れています。また、手足の切り傷で、指が動きにくいなど、機能的な問題が疑われる場合は、「整形外科」が専門となります。夜間や休日で、どこを受診すればよいか迷う場合は、地域の救急病院に電話で問い合わせるか、#8000(小児救急電話相談)に相談して、対応可能な医療機関を教えてもらうのが確実です。子どもの怪我では、親の冷静な判断が何よりも大切です。まずは落ち着いて傷の状態を観察し、適切な診療科を選んであげてください。

  • リウマチや膠原病も原因に?リウマチ科での診断

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    肩の痛みが、一つの関節だけでなく、手や足など、体のあちこちの関節にも同時に現れたり、あるいは発熱や全身の倦怠感といった、関節以外の症状を伴ったりする場合、それは単なる肩のトラブルではなく、免疫システムの異常によって全身の関節や組織に炎症が起こる「自己免疫疾患」の一症状である可能性があります。このような病気を専門的に診断・治療するのが「リウマチ科」または「リウマチ・膠原病内科」です。肩の痛みを引き起こす代表的な自己免疫疾患が、「関節リウマチ」です。関節リウマチは、手や足の指の関節に発症することが多いですが、肩や膝、肘といった大きな関節にも炎症を起こします。朝起きた時に、関節がこわばって動かしにくい「朝のこわばり」や、複数の関節が左右対称に腫れて痛むのが特徴です。肩関節に発症すると、四十肩・五十肩と非常によく似た痛みや動きの制限が現れるため、鑑別が重要となります。また、50歳以上の高齢者に発症し、急に両肩や、首、太ももの付け根などに、強い痛みとこわばりが現れる病気に、「リウマチ性多発筋痛症」があります。朝、寝返りが打てない、起き上がれないほどの強いこわばりが特徴で、微熱や倦怠感、体重減少を伴うことも多いです。この病気は、側頭動脈炎という血管の炎症を合併することがあり、その場合は頭痛や、放置すると失明の危険もあるため、早期の診断と治療が不可欠です。その他、「全身性エリテマトーデス(SLE)」や「多発性筋炎・皮膚筋炎」といった膠原病でも、筋肉の炎症の一環として、肩周りの筋肉痛や関節痛が現れることがあります。リウマチ科では、まず詳しい問診と診察で、全身の関節や皮膚の状態、その他の症状を確認します。そして、診断を確定させるために、「血液検査」でリウマチ因子や抗CCP抗体といった自己抗体の有無、炎症反応の程度を調べます。また、関節エコー(超音波)検査やMRI検査で、関節内の炎症の状態を詳しく評価することもあります。これらの病気の治療は、ステロイドや免疫抑制薬といった、免疫システムに作用する専門的な薬物療法が中心となります。複数の関節に広がる痛みや、全身症状を伴う場合は、リウマチ科への相談を検討してください。

  • 切り傷を負ったらまず何科?正しい診療科選びが重要

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    料理中に包丁で指を切ってしまった、紙でスパッと指の縁を切った、あるいは転んでガラスの破片で足を切ってしまった。日常生活の中で「切り傷(切創)」を負うことは、誰にでも起こりうる、非常にありふれた怪我です。小さな浅い傷であれば、家庭での応急処”置で十分に治癒しますが、傷が深い場合や、出血が止まらない場合、あるいは汚れたもので切ってしまった場合には、適切な医療機関を受診する必要があります。そんな時、「この程度の切り傷で病院に行っていいのだろうか」「もし行くなら、何科を受診すればいいのか」と、判断に迷うことも少なくないでしょう。切り傷の治療において、中心的な役割を担う診療科は、主に「皮膚科」「形成外科」「整形外科」そして「外科」です。どの科を受診すべきかは、傷の深さや場所、そして何を最も重視するか(機能の回復か、傷跡のきれいさか)によって変わってきます。例えば、皮膚の表面に近い、比較的浅い傷であれば、皮膚の専門家である「皮膚科」が適しています。一方、傷が深く、筋肉や腱、神経にまで達している可能性がある場合や、傷跡をできるだけきれいに治したいと考える場合は、傷の修復と再建のスペシャリストである「形成外科」が最も専門性の高い診療科と言えるでしょう。また、手足の切り傷で、指が動かしにくい、感覚がおかしいといった機能的な障害を伴う場合は、骨や関節、神経の専門家である「整形外科」の受診が不可欠です。この記事シリーズでは、切り傷の状態別に、それぞれの診療科の役割と特徴を詳しく解説し、あなたが最適な医療を受けるための手助けをします。

  • 成長期の子供のかかと痛、シーバー病(踵骨骨端症)とは

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    活発にスポーツをしている10歳前後の小学生の男の子が、「かかとが痛い」と訴え始めた。特に、運動中や運動後に痛みが強くなり、かかとの後ろ側を押すと痛がる。このような場合、まず疑われるのが、成長期特有のスポーツ障害である「シーバー病(踵骨骨端症)」です。シーバー病は、成長期の子どものかかとの骨(踵骨)の後方にある、成長軟骨(骨端線)に、過度な負担がかかることで炎症が生じ、痛みや腫れを引き起こす病気です。大人の骨は一つの完成した骨ですが、成長期の子どもの骨には、骨が成長していくための柔らかい軟骨部分が存在します。かかとの骨の場合、アキレス腱が付着する部分のすぐ下に、この成長軟骨があります。サッカーやバスケットボール、陸上競技など、走ったりジャンプしたりする動作を繰り返すスポーツでは、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が、その付着部であるアキレス腱を介して、かかとの成長軟骨を常に強く引っ張ります。この牽引力が、まだ弱い成長軟骨への繰り返しのストレスとなり、炎症(骨端炎)を引き起こすのです。症状は、主に運動時に現れ、運動を休むと軽快するのが特徴です。かかとの後ろ側、アキレス腱の付着部あたりに、押すと痛むポイント(圧痛)があり、つま先立ちをしたり、アキレス腱を伸ばしたりすると、痛みが強くなることもあります。診断は、主に症状の経過と診察所見によって行われます。レントゲン撮影では、成長軟骨が少し白く見えたり、分離して見えたりすることもありますが、明らかな異常が見られないことも少なくありません。治療の基本は、まず痛みの原因となっているスポーツ活動を一時的に休止し、かかとへの負担を減らすことです(安静)。そして、痛みが強い時期には、アイシング(冷却)を行い、炎症を抑えます。痛みが和らいできたら、硬くなっているふくらはぎの筋肉やアキレス腱のストレッチングを丁寧に行い、柔軟性を取り戻すことが、再発予防のために非常に重要です。また、靴の中に、かかと部分を少し高くするヒールパッドや、衝撃を吸収するインソールを入れることも、症状の緩和に有効です。シーバー病は、骨の成長が完了すれば自然に治癒する病気ですが、成長期に無理をすると、痛みが長引く原因となります。

  • 【土踏まず】扁平足や過労が招く痛みとアーチの役割

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    足の裏の中央部分、いわゆる「土踏まず」に、歩いたり立ったりすると重だるい痛みや、ジンジンとした痛みを感じる。このような症状の背景には、足のアーチ構造の破綻が関わっていることが多くあります。私たちの足には、内側縦アーチ(いわゆる土踏まず)、外側縦アーチ、そして指の付け根部分にある横アーチという、3つのアーチ構造が備わっています。これらのアーチは、骨と靭帯、筋肉によって支えられており、歩行時の衝撃を吸収するバネのような役割と、体を安定させる土台としての役割を果たしています。このうち、内側縦アーチが潰れて、足の裏が平らになってしまう状態が「扁平足」です。子どもの頃の扁平足は、成長と共に自然にアーチが形成されることがほとんどですが、大人の扁平足(成人期扁平足)は、加齢や体重増加、長時間の立ち仕事、あるいは後脛骨筋というアーチを支える重要な筋肉の機能不全などによって、徐々にアーチが低下してくるものです。扁平足になると、衝撃吸収能力が低下するため、足の裏、特に土踏まずのあたりに、痛みや疲労感、だるさを感じやすくなります。また、足全体のバランスが崩れることで、外反母趾や足底腱膜炎、さらには膝痛や腰痛の原因となることもあります。土踏まずの痛みで、もう一つ考えられるのが、前述の「足底腱膜炎」です。足底腱膜は、かかとから指の付け根まで伸びているため、炎症はかかとだけでなく、土踏まずの中央部分にも起こり得ます。長時間の歩行やランニングの後などに、土踏まずに痛みを感じる場合は、足底腱膜の過労による炎症が考えられます。土踏まずの痛みの診断と治療は、主に「整形外科」が担当します。診察では、足の形を観察し、体重をかけた時とそうでない時のアーチの状態を比較したり、レントゲン撮影で骨の配列を確認したりします。治療の基本は、足のアーチを適切にサポートすることです。自分の足に合ったアーチサポート付きのインソール(足底挿板)を作成し、靴の中に入れる装具療法が最も効果的です。また、足の指をグーパーと動かす運動(タオルギャザーなど)や、アキレス腱のストレッチを行い、足裏の筋肉を鍛えて柔軟性を保つことも、症状の改善と予防に繋がります。