新型コロナウイルスへの感染が疑われる際、かつてのように全ての人が一律に発熱外来を受診しなければならないというフェーズは過ぎ去りました。現在では、個々の症状の重さや基礎疾患の有無、そして何より自分自身の体調を冷静に見極めた上で、あえて病院に行かないという選択をすることが、医療リソースの確保や自身の二次感染リスク回避のために推奨される場面も増えています。病院に行かずに自宅で様子を見るべきかどうかの最大の判断基準は、まず自分が重症化リスクの低い層に該当するかどうかを確認することから始まります。高齢者や基礎疾患がある方、妊娠中の方は早めの相談が不可欠ですが、健康な若年層や壮年層で、症状が喉の痛みや数日程度の発熱、咳に留まっている場合は、無理に病院へ足を運ぶ必要性は低いと言えるでしょう。自宅療養を選択した場合、まず徹底すべきは正確な体調のモニタリングです。体温計による定期的な検温はもちろんのこと、できればパルスオキシメーターを用意し、血中酸素飽和度が九十六パーセント以上を維持できているかを確認してください。もし、九十三パーセントを下回るようなことがあれば、それは病院へ行くべき明確なサインとなります。また、水分補給が十分にできているか、食事を摂る気力があるかといった日常的なバイタルサインも重要です。病院に行かないと決めた後、手元にある市販の解熱鎮痛剤を適切に使用しながら、体力の回復を待つのが基本となります。アセトアミノフェンやイブプロフェンといった成分を含む市販薬は、高熱による体力の消耗を抑え、喉の痛みを和らげるのに非常に有効です。ただし、薬を飲んでも全く熱が下がらない場合や、五日以上高熱が続く場合には、自己判断を中断し、地域の相談窓口やオンライン診療を利用することを検討してください。病院へ行かないことは、決して治療を放棄することではありません。むしろ、自身の免疫力を信じ、適切な休養と栄養摂取によって、自宅という最もリラックスできる環境で治癒を目指すという積極的な選択です。周囲に感染を広めないという社会的責任を果たす意味でも、軽症の段階で公共交通機関を使って病院へ向かうより、自宅で隔離生活を完遂することの方が有意義な場合も多いのです。
コロナ疑いで病院に行かない選択をするための判断基準と自宅療養の心得