かかとが痛い!考えられる原因と痛みのメカニズム
歩行や起立といった日常のあらゆる動作で、私たちの全体重を最初に受け止める重要なパーツ、それが「かかと」です。この小さな部位には、歩行時の着地の衝撃を吸収し、次の一歩を踏み出すためのバネとなる、精巧なメカニズムが備わっています。しかし、その分、かかとには絶えず大きな負担がかかっており、様々な原因によって痛みが生じやすい場所でもあります。かかとの痛みを引き起こす原因は、一つではありません。最も多いのは、足の裏にある「足底腱膜」という強靭な膜に炎症が起こる「足底腱膜炎」です。特に、朝起きて最初の一歩目に激痛が走るのが、この病気の典型的なサインです。また、かかとの骨そのものや、その周辺の脂肪組織、神経、アキレス腱などに問題が生じることもあります。例えば、成長期の子どもであれば、かかとの骨の成長軟骨に炎症が起こる「シーバー病(踵骨骨端症)」が考えられます。さらに、スポーツによるオーバーユース(使いすぎ)や、長時間の立ち仕事、あるいは加齢による組織の変性、体重の増加、クッション性の悪い靴の着用といった、日々の生活習慣や身体的な変化も、かかとの痛みを誘発する大きな要因となります。稀ではありますが、関節リウマチなどの全身性の炎症性疾患や、腰の神経の圧迫(坐骨神経痛)が、かかとに痛みを引き起こすこともあります。このように、かかとの痛みの背景には、様々な原因が潜んでいます。適切な対処や治療を行うためには、まず、自分の痛みがどのような特徴を持っているのか(いつ、どこが、どのように痛むのか)を把握し、その原因を正しく突き止めることが、解決への第一歩となるのです。