喉にブツブツができて痛む時、多くは数日で自然に治るウイルス性の夏風邪ですが、中には重症化のサインや、緊急を要する危険な病気が隠れている可能性もあります。自己判断で様子を見るのではなく、以下に挙げるような「危険なサイン(レッドフラッグサイン)」が見られた場合は、直ちに医療機関を受診することが重要です。まず、最も警戒すべき症状が、「呼吸の異常」です。喉の腫れが非常に強く、「息がしにくい、呼吸が苦しい」「息を吸う時にゼーゼー、ヒューヒューという異常な音がする」「よだれが飲み込めず、口から垂れ流している」といった症状は、喉の奥にある喉頭蓋(こうとうがい)という部分に急激な炎症が起こる「急性喉頭蓋炎」の可能性があります。これは、気道が完全に塞がれて窒息する危険がある、極めて緊急性の高い状態です。次に、「水分補給が全くできない」場合です。喉の痛みのために、つばさえ飲み込めず、水分を一切受け付けない状態が続くと、特に乳幼児は容易に脱水症状に陥ります。「半日以上おしっこが出ていない」「唇がカサカサに乾いている」「ぐったりして活気がない」といった脱水のサインが見られたら、点滴による水分補給が必要なため、速やかな受診が必要です。また、「39度以上の高熱が3日以上続く」場合も、注意が必要です。ウイルス性の夏風邪の熱は、通常2~3日で解熱傾向になります。高熱が長引く場合は、細菌感染の合併や、川崎病など他の重篤な病気の可能性も考えなければなりません。さらに、「意識の状態がおかしい」場合も、極めて危険な兆候です。「呼びかけへの反応が鈍い、意識がもうろうとしている」「激しい頭痛と、繰り返す嘔吐がある」「けいれんを起こした」といった症状は、髄膜炎や脳炎といった、中枢神経系の合併症を強く疑うサインです。これらの症状が一つでも見られた場合は、夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。ほとんどの場合は心配ない経過をたどりますが、万が一の事態に備え、これらの危険なサインを頭に入れておくことが、子どもの命と健康を守るために何よりも大切です。
喉のブツブツで病院へ行くべき危険なサイン