RSウイルス感染症は、「乳幼児の冬風邪」の代表格として知られ、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると、細気管支炎や肺炎といった重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあるため、非常に注意が必要な病気です。しかし、このウイルスは乳幼児だけでなく、幼児期の子どもたちにも広く感染します。5歳くらいの幼児がRSウイルスに初めて、あるいは再感染した場合、その症状はどのように現れるのでしょうか。多くの場合、5歳児がRSウイルスに感染した時の症状は、0歳や1歳の乳児期に比べて、比較的軽症で済むことが多いとされています。典型的な経過としては、まず、38度前後の発熱と、水のようなサラサラとした鼻水から始まります。これは、普通の風邪の症状と非常によく似ています。その後、数日経つと、咳が出始め、次第にその咳がひどくなっていくのが特徴です。咳は、乾いたコンコンとした咳から、痰が絡んだゴホゴホ、ゼロゼロといった湿った咳に変化していくことが多く、このしつこい咳が1週間以上続くことも珍しくありません。RSウイルスの特徴は、上気道(鼻や喉)の炎症だけでなく、気管支や細気管支といった、より下気道に炎症が及びやすい点にあります。そのため、5歳児であっても、喘息の既往がある子どもや、アレルギー体質の子ども、あるいは免疫力が低下している状態の子どもの場合は、症状が重症化するリスクがあります。特に、咳と共に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった、息を吐く時に異常な音が聞こえる「喘鳴(ぜんめい)」が現れた場合は、気管支が狭くなっているサインであり、注意が必要です。症状のピークは、発症から4~6日目頃に訪れることが多く、この時期に呼吸状態が悪化しやすいとされています。ほとんどの5歳児は、対症療法と自宅でのケアで自然に回復に向かいますが、重症化のサインを見逃さないためにも、保護者の注意深い観察が何よりも大切です。
5歳児のRSウイルス、その特徴的な症状とは