子どもの体に蕁麻疹が出た時、全てのケースで慌てて病院に駆け込む必要はありません。多くの場合、蕁麻疹は一過性のもので、家庭での適切なケアで症状を和らげながら、自然に消えるのを待つことができます。では、どのような蕁麻疹であれば、ひとまず「様子を見て良い」と判断できるのでしょうか。その目安は、蕁麻疹以外の全身症状がなく、子ども本人が比較的元気であることです。具体的には、①皮膚の発疹(膨疹)とかゆみ以外の症状がない、②機嫌がそれほど悪くなく、普段通りに遊んだり、会話したりできる、③食事や水分がいつも通りに摂れている、といった状態です。このような場合は、まず家庭でのセルフケアを試みましょう。家庭での対処法の基本は、「冷やす」ことと「刺激を避ける」ことです。蕁麻疹のかゆみは、皮膚の血管が拡張し、温まることで強くなります。そのため、かゆがっている部分を、冷たい水で濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤などで、短時間(数分程度)冷やしてあげると、血管が収縮し、かゆみが和らぎます。ただし、冷やしすぎは凍傷の原因になるため注意が必要です。また、かゆいからといって、掻き壊してしまうと、皮膚が傷ついて症状が悪化したり、細菌感染(とびひなど)を起こしたりする原因になります。子どもの爪は短く切り、清潔に保つようにしましょう。入浴は、熱いお湯に長く浸かると、体温が上がってかゆみが強くなるため、ぬるめのシャワーで汗や汚れをさっと洗い流す程度にするのが無難です。体を洗う際も、石鹸をよく泡立てて、手で優しくなでるように洗い、ゴシゴシこすらないようにします。服装は、肌触りの良い綿素材の、ゆったりとしたものを選び、皮膚への刺激を最小限に抑えましょう。原因として、特定の食べ物や新しい薬を摂取した直後に蕁麻疹が出たなど、明らかな心当たりがある場合は、その原因物質を記録しておき、今後の摂取を避けることが重要です。これらの対処法でかゆみが和らぎ、発疹が数時間から24時間以内に自然に消えていくようであれば、緊急受診の必要性は低いと考えられます。
「様子を見てOK」な蕁麻疹と家庭での対処法