私たちの身体は、自分でも気づかないうちに多くのストレスや負荷を溜め込み、それが限界を超えた時に「痛み」という悲鳴を上げます。この痛みの原因を調べるために病院を選ぶ際、私たちが最も重視すべきなのは、その病院が「症状」だけを見ているのか、それとも「人間そのもの」を見ようとしているのかという点です。例えば、腰が痛いからといって腰のレントゲンだけを撮り、薬を出して終わりの病院では、その痛みが長引いている真の理由は分かりません。もしかすると、長年の猫背という姿勢の問題かもしれませんし、仕事上のプレッシャーによる自律神経の乱れからくる血流障害かもしれません。あるいは、過去の怪我に対する恐怖心が脳に焼き付いている「痛みの記憶」である可能性もあります。真に痛みの原因を根本から調べてくれる病院は、患者さんの立ち振る舞いや、表情の変化、そして言葉の端々に隠された生活の断片を逃さず拾い上げます。最近では、このような多角的な診察を行う「痛みセンター」や「集学的痛みセンター」を併設する大学病院や総合病院が増えています。そこでは、医師だけでなく、看護師、理学療法士、公認心理師などが一堂に会し、一人の患者さんの痛みを多角的に分析するカンファレンスが行われます。もし、あなたが通っている病院で、話を十分に聞いてもらえないと感じたり、検査を繰り返しても納得のいく説明が得られなかったりするのであれば、思い切ってこうした専門的なセンターを受診することを検討すべきです。また、病院選びの際は、最新の検査機器の有無だけでなく、医師が「痛みについての教育」を十分に受けているか、痛みのガイドラインに基づいた治療を行っているかを確認することも大切です。痛みの原因を調べることは、自分自身の生き方や身体の使い方を再点検することでもあります。ただ痛みを取り除くだけでなく、なぜその痛みが生まれたのか、そしてどうすれば再発を防げるのかを共に考えてくれる病院を見つけることが、一生涯、自分の足で歩き、自由に動き回るための最高の投資となります。身体の悲鳴を無視せず、最高の聞き手である専門病院を探し出す努力こそが、健康への最短距離なのです。