5歳の子どもがRSウイルス感染症を疑う症状を見せた時、保護者としては、どのタイミングで、どの診療科を受診すればよいか、判断に迷うことがあるでしょう。ここでは、受診の適切な目安と、診療科の選び方について解説します。まず、受診すべき診療科は、子どもの病気の専門家である「小児科」が第一選択です。小児科医は、RSウイルス感染症の診断と治療に最も精通しており、子どもの年齢や発達段階に応じた適切なアドバイスをしてくれます。また、似たような症状を示す他の感染症(インフルエンザ、ヒトメタニューモウイルス感染症など)との鑑別も的確に行うことができます。次に、受診のタイミングですが、全てのケースで直ちに受診が必要なわけではありません。鼻水や軽い咳だけで、熱もなく、元気に遊んで、食事も水分も普段通りに摂れているようであれば、急いで夜間や休日に受診する必要はなく、翌日の日中の診療時間内に、かかりつけの小児科を受診するので十分です。ただし、以下のような症状が見られる場合は、診療時間外であっても、夜間・休日急病診療所や、救急外来の受診を検討すべきです。①高熱が続いている場合: 38.5度以上の熱が2日以上続く時。②水分補給が困難な場合: 咳き込みがひどくて飲めない、あるいはぐったりして、半日以上おしっこが出ていないなど、脱水症状が疑われる時。そして、最も重要な受診の目安が、前述した「呼吸状態の悪化」を示す危険なサインです。③呼吸が苦しそうな場合: 息を吐く時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がする(喘鳴)、呼吸の回数が異常に速い、息を吸う時に胸や鎖骨の上がペコペコとへこむ(陥没呼吸)、唇や顔色が悪い(チアノーゼ)。これらの呼吸困難のサインが見られた場合は、重症化している可能性が高いため、ためらわずに直ちに受訪してください。病院に行くべきか迷った場合は、#8000(小児救急電話相談)に電話して、専門家の助言を求めるのも良い方法です。適切なタイミングで医療機関を受診することが、子どもの重症化を防ぎ、安全な回復へと繋がるのです。