水疱瘡(みずぼうそう)は、正式には「水痘(すいとう)」と言い、「水痘・帯状疱疹ウイルス」への初感染で発症する、非常に感染力の強い病気です。特に、ワクチン未接種の子どもによく見られますが、免疫がない大人も感染します。水疱瘡の症状は、非常に特徴的な経過をたどるため、その流れを知ることは、病気を正しく理解し、適切に対処する上で非常に重要です。まず、ウイルスに感染してから症状が出始めるまでの「潜伏期間」が、約2週間(10日~21日)あります。この間は全く無症状ですが、体の中ではウイルスが増殖を始めています。そして発症は、比較的軽い発熱(37~38度程度)と、全身の倦怠感から始まることが一般的です。発熱とほぼ同時に、あるいはその1~2日後から、特徴的な「発疹」が出現し始めます。この発疹こそが、水疱瘡を診断する上での最大の鍵となります。発疹は、最初は小さな赤いブツブツ(紅斑)として、主に体幹部(お腹や背中)や顔に現れます。そして、ここからの変化が非常にスピーディーです。赤い発疹は、わずか数時間のうちに、その中心部がぷくっと盛り上がり、涙のしずくのような、みずみずしい「水ぶくれ(水疱)」に変化します。この水疱は強いかゆみを伴い、やがて中心が少しへこんで、膿を持った「膿疱(のうほう)」へと変わっていきます。そして最終的には、それが破れて乾燥し、「かさぶた(痂皮)」となって治癒に向かいます。水疱瘡の最大の特徴は、この「紅斑→水疱→膿疱→痂皮」という様々な段階の発疹が、数日間にわたって次々と新しい場所に現れ、結果的に、体の同じ場所に、これらの“新旧”の発疹が、まるで混在するように同時に見られることです。これを「発疹の混在」と呼び、医師が水疱瘡を診断する際の決定的な所見となります。