子どもの蕁麻疹の原因は、大きく分けて「アレルギー性」と「非アレルギー性」の二つに分類されます。どちらのタイプかを考えることが、適切な対応や、再発予防に繋がります。まず、「アレルギー性蕁麻疹」は、特定の物質(アレルゲン)に対して、体の免疫システムが過剰に反応することで起こります。アレルゲンが体内に入ると、マスト細胞という細胞から、ヒスタミンなどの化学伝達物質が大量に放出されます。このヒスタミンが、皮膚の血管を拡張させ、血液の成分(血漿)を血管の外に漏れ出させることで、赤みと盛り上がり(膨疹)、そして強いかゆみを引き起こすのです。原因となるアレルゲンとして最も多いのが、「食物」です。特に、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、甲殻類(エビ・カニ)、果物などが代表的です。特定のものを食べてから、数分から2時間以内に蕁麻疹が出現するのが特徴です。その他、「薬物」(抗生物質や解熱鎮痛薬など)、「虫刺され」(ハチやアリなど)、「ラテックス(天然ゴム)」なども、アレルギー性蕁麻疹の原因となります。重症化すると、前述のアナフィラキシーショックを引き起こす危険性があるのが、このアレルギー性蕁麻疹です。一方、「非アレルギー性蕁麻疹」は、アレルギー反応を介さずに、様々な刺激が直接、あるいは間接的にマスト細胞を活性化させることで起こります。子どもの急性蕁麻疹の原因として、実は最も多いのが、この非アレルギー性のものです。その代表格が、「感染症」です。風邪や胃腸炎などのウイルスや細菌に感染した際に、体の免疫反応の一環として蕁麻疹が出ることがあります。また、日光を浴びることで起こる「日光蕁麻疹」、寒い空気に触れることで起こる「寒冷蕁麻疹」、温かいお風呂などで体温が上がることで起こる「温熱蕁麻疹」、皮膚をこすったり圧迫したりすることで起こる「機械性蕁麻疹」など、物理的な刺激が原因となる蕁麻疹も、このカテゴリーに含まれます。疲労やストレスが、蕁麻疹を誘発したり、悪化させたりすることも知られています。実際には、はっきりと原因が特定できない「特発性」の蕁麻疹が、全体の7割以上を占めるとも言われています。
蕁麻疹の原因、アレルギー性と非アレルギー性の違い