声が出ない、かすれる、出しにくい。こうした声のトラブルに見舞われた時、私たちは意外とどの専門家に相談すればよいのか迷ってしまうものです。病院の看板には様々な診療科が並んでおり、自分の症状に最適なのはどこなのか、判断に苦しむことも少なくありません。ここでは、声に関する悩みを抱えた際の、適切な相談先の選び方について整理してみましょう。まず、全ての声のトラブルにおける基本の相談先は「耳鼻咽喉科」です。声を生み出す声帯は喉の奥にあり、喉は耳鼻咽喉科の専門分野です。内視鏡を使って声帯の状態を直接観察できるのは耳鼻咽喉科だけであり、炎症、ポリープ、麻痺、腫瘍など、声が出ない原因となっている物理的な異常を見つけ出すことができます。原因が何であれ、まずは声帯に何が起きているのかを正確に把握することが治療のスタートラインとなるため、「声がおかしいな」と感じたら、最初に耳鼻咽喉科のドアを叩くのが正解です。しかし、場合によっては他の診療科との連携が必要になることもあります。例えば、耳鼻咽喉科の診察で声帯には異常がないと判断されたにもかかわらず声が出ない場合、強いストレスなどが原因の「心因性失声症」が疑われます。この場合は、「心療内科」や「精神科」が相談先となります。カウンセリングなどを通じて、心の負担を軽くすることが声を取り戻す助けになるでしょう。また、胸焼けやゲップなどの症状と共に声がれが続く場合は、胃酸の逆流が原因かもしれません。この場合は「消化器内科」で逆流性食道炎の治療を受けることが、結果的に声の改善につながります。さらに、声の出し方そのものに問題がある場合や、手術後のリハビリテーションが必要な場合には、「言語聴覚士(ST)」という専門家のサポートが有効です。言語聴覚士は、病院のリハビリテーション科などに在籍しており、発声訓練を通じて、効率的で負担の少ない声の出し方を指導してくれます。このように、声のトラブルは様々な要因が絡み合っていることがありますが、まずは耳鼻咽喉科を「司令塔」として受診し、そこで正確な診断を受けた上で、必要に応じて他の専門家を紹介してもらう、という流れが最もスムーズで確実な道筋と言えるでしょう。