肩の痛みが、一つの関節だけでなく、手や足など、体のあちこちの関節にも同時に現れたり、あるいは発熱や全身の倦怠感といった、関節以外の症状を伴ったりする場合、それは単なる肩のトラブルではなく、免疫システムの異常によって全身の関節や組織に炎症が起こる「自己免疫疾患」の一症状である可能性があります。このような病気を専門的に診断・治療するのが「リウマチ科」または「リウマチ・膠原病内科」です。肩の痛みを引き起こす代表的な自己免疫疾患が、「関節リウマチ」です。関節リウマチは、手や足の指の関節に発症することが多いですが、肩や膝、肘といった大きな関節にも炎症を起こします。朝起きた時に、関節がこわばって動かしにくい「朝のこわばり」や、複数の関節が左右対称に腫れて痛むのが特徴です。肩関節に発症すると、四十肩・五十肩と非常によく似た痛みや動きの制限が現れるため、鑑別が重要となります。また、50歳以上の高齢者に発症し、急に両肩や、首、太ももの付け根などに、強い痛みとこわばりが現れる病気に、「リウマチ性多発筋痛症」があります。朝、寝返りが打てない、起き上がれないほどの強いこわばりが特徴で、微熱や倦怠感、体重減少を伴うことも多いです。この病気は、側頭動脈炎という血管の炎症を合併することがあり、その場合は頭痛や、放置すると失明の危険もあるため、早期の診断と治療が不可欠です。その他、「全身性エリテマトーデス(SLE)」や「多発性筋炎・皮膚筋炎」といった膠原病でも、筋肉の炎症の一環として、肩周りの筋肉痛や関節痛が現れることがあります。リウマチ科では、まず詳しい問診と診察で、全身の関節や皮膚の状態、その他の症状を確認します。そして、診断を確定させるために、「血液検査」でリウマチ因子や抗CCP抗体といった自己抗体の有無、炎症反応の程度を調べます。また、関節エコー(超音波)検査やMRI検査で、関節内の炎症の状態を詳しく評価することもあります。これらの病気の治療は、ステロイドや免疫抑制薬といった、免疫システムに作用する専門的な薬物療法が中心となります。複数の関節に広がる痛みや、全身症状を伴う場合は、リウマチ科への相談を検討してください。
リウマチや膠原病も原因に?リウマチ科での診断