子どもの蕁麻疹、受診の目安と診療科
ある日突然、子どもの体に、蚊に刺されたような、赤くて盛り上がった発疹(膨疹)がいくつも現れる。強いかゆみを伴い、地図のように広がったり、出たり消えたりを繰り返す。これは、多くの子どもが経験する皮膚の病気、「蕁麻疹(じんましん)」の典型的な症状です。その原因は、特定の食べ物や薬によるアレルギー、ウイルス感染、虫刺され、皮膚への物理的な刺激など、非常に多岐にわたります。ほとんどの場合、蕁麻疹は数時間から1日以内に自然に消える一過性のもの(急性蕁麻疹)であり、命に関わることは稀です。しかし、中には重篤なアレルギー反応のサインであったり、何らかの病気が隠れていたりする可能性もあります。そのため、保護者としては、「このまま様子を見ていて良いのか、それとも病院に連れて行くべきか」という受診の目安を知っておくことが非常に重要になります。まず、子どもの蕁麻疹で受診すべき診療科は、皮膚の専門家である「皮膚科」または、子どもの病気全般を診てくれるかかりつけの「小児科」です。どちらの科でも、適切な初期対応が可能です。受診を判断する上で最も重要なポイントは、蕁麻疹以外の症状、特に「呼吸器症状」や「消化器症状」を伴っているかどうかです。もし、蕁麻疹と共に、息が苦しそう、顔色が悪い、ぐったりしているといった症状が見られた場合は、アナフィラキシーという緊急性の高い状態の可能性があるため、様子を見ずに直ちに救急病院を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。この記事シリーズでは、蕁麻疹の症状のレベル別に、家庭での対処法と、医療機関を受診すべき具体的な目安について詳しく解説していきます。