風邪をひいて声がガラガラになった経験は、多くの人にあるでしょう。たいていの場合、数日もすれば自然と声は元に戻っていきます。しかし、声が出ない、あるいはかすれた状態が予想以上に長く続くと、「これはただの風邪ではないのかもしれない」「いつになったら治るのだろう」と不安になってくるものです。では、どのくらいの期間、声の不調が続いたら医療機関を受診すべきなのでしょうか。その目安を知っておくことは、病気の早期発見と適切な治療につながります。まず、明らかな風邪の症状(発熱、咳、鼻水、喉の痛みなど)に伴って声が出なくなった場合は、一週間程度を一つの目安と考えるとよいでしょう。通常の急性声帯炎であれば、風邪の症状が改善するにつれて、声の状態も徐々に回復してくるはずです。もし、一週間以上経っても声がれが全く改善しない、あるいはむしろ悪化しているような場合は、炎症が長引いていたり、別の問題が隠れていたりする可能性も考えられるため、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。次に、風邪のような先行症状がなく、突然声が出なくなった場合や、はっきりした原因が思い当たらないのに声がれが続く場合は、期間にかかわらず、早めに耳鼻咽喉科を受診するのが賢明です。特に、喫煙歴が長い方で、二週間以上も声がれが続く場合は、喉頭がんの初期症状である可能性も否定できません。早期発見が治療の鍵となるため、決して放置してはいけません。また、声を酷使する職業の方(教師、歌手、コールセンターのオペレーターなど)で、職業柄、声がれが慢性化している場合も、定期的に耳鼻咽喉科で声帯のチェックを受けることが望ましいです。声帯結節やポリープができていないかを確認し、正しい発声方法の指導を受けることで、声のトラブルを予防することにつながります。声は、私たちのコミュニケーションに欠かせない大切なツールです。「たかが声がれ」と軽視せず、長引く不調は体の異常を知らせるサインだと捉え、適切なタイミングで専門医に相談する勇気を持ちましょう。