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声が出ない症状で考えられる病気と診療科
「声が出ない」という一つの症状の背後には、様々な原因となる病気が隠れている可能性があります。その原因によって、頼るべき診療科や治療法も異なってきます。ここでは、声が出なくなる代表的な病気と、それぞれに関連する診療科について解説します。まず最も多いのが、風邪ウイルスなどによる「急性声帯炎」です。声帯が炎症で赤く腫れ、正常に振動できなくなるため、声がかすれたり出なくなったりします。これは「耳鼻咽喉科」の典型的な疾患で、喉の安静と薬物治療で数日から一週間程度で改善します。次に、教師や歌手など、声を日常的に酷使する人に多いのが「声帯結節」や「声帯ポリープ」です。声帯にタコやマメのようなものができてしまい、声がれの原因となります。これも「耳鼻咽喉科」が専門です。初期の場合は声の安静や発声訓練で改善することもありますが、大きいものや改善しない場合は手術が必要になることもあります。また、胃酸が食道を逆流して喉まで達し、声帯を刺激して炎症を起こす「逆流性食道炎」も、声がれの意外な原因となります。胸焼けや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)といった症状があれば、まず「消化器内科」に相談するのがよいでしょう。治療は胃酸を抑える薬が中心となりますが、喉の症状が強い場合は耳鼻咽喉科と連携して治療を進めることもあります。さらに、甲状腺の手術後や、原因不明で声帯を動かす神経(反回神経)が麻痺してしまう「声帯麻痺」も声が出なくなる原因です。この場合、声はかすれて息が漏れるような特徴的な声になります。これも診断は「耳鼻咽喉科」で行いますが、原因を調べるために甲状腺や肺などに異常がないか、CTなどの画像検査が必要になることもあり、その場合は「呼吸器外科」や「内分泌内科」などと連携することになります。最後に、忘れてはならないのが「喉頭がん」です。特に喫煙者で、治りにくい声がれが続く場合は注意が必要です。早期発見が非常に重要であり、これも「耳鼻咽喉科」での内視鏡検査が発見の鍵となります。このように、声が出ない原因は多岐にわたりますが、いずれにせよ最初の入り口は「耳鼻咽喉科」であると覚えておくことが重要です。
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診療科選びで迷わない!声のトラブル相談先
声が出ない、かすれる、出しにくい。こうした声のトラブルに見舞われた時、私たちは意外とどの専門家に相談すればよいのか迷ってしまうものです。病院の看板には様々な診療科が並んでおり、自分の症状に最適なのはどこなのか、判断に苦しむことも少なくありません。ここでは、声に関する悩みを抱えた際の、適切な相談先の選び方について整理してみましょう。まず、全ての声のトラブルにおける基本の相談先は「耳鼻咽喉科」です。声を生み出す声帯は喉の奥にあり、喉は耳鼻咽喉科の専門分野です。内視鏡を使って声帯の状態を直接観察できるのは耳鼻咽喉科だけであり、炎症、ポリープ、麻痺、腫瘍など、声が出ない原因となっている物理的な異常を見つけ出すことができます。原因が何であれ、まずは声帯に何が起きているのかを正確に把握することが治療のスタートラインとなるため、「声がおかしいな」と感じたら、最初に耳鼻咽喉科のドアを叩くのが正解です。しかし、場合によっては他の診療科との連携が必要になることもあります。例えば、耳鼻咽喉科の診察で声帯には異常がないと判断されたにもかかわらず声が出ない場合、強いストレスなどが原因の「心因性失声症」が疑われます。この場合は、「心療内科」や「精神科」が相談先となります。カウンセリングなどを通じて、心の負担を軽くすることが声を取り戻す助けになるでしょう。また、胸焼けやゲップなどの症状と共に声がれが続く場合は、胃酸の逆流が原因かもしれません。この場合は「消化器内科」で逆流性食道炎の治療を受けることが、結果的に声の改善につながります。さらに、声の出し方そのものに問題がある場合や、手術後のリハビリテーションが必要な場合には、「言語聴覚士(ST)」という専門家のサポートが有効です。言語聴覚士は、病院のリハビリテーション科などに在籍しており、発声訓練を通じて、効率的で負担の少ない声の出し方を指導してくれます。このように、声のトラブルは様々な要因が絡み合っていることがありますが、まずは耳鼻咽喉科を「司令塔」として受診し、そこで正確な診断を受けた上で、必要に応じて他の専門家を紹介してもらう、という流れが最もスムーズで確実な道筋と言えるでしょう。
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症状がないからこそ怖い高尿酸血症の放置
もし、あなたの家の火災報知器が鳴ったとしたら、たとえ煙や炎が見えなくても、すぐに原因を確認し、対処するはずです。「鳴っているだけだから大丈夫」と放置する人はいないでしょう。健康診断で指摘される「高い尿酸値」は、まさにこの火災報知器の警報音と同じです。痛みやかゆみといった自覚症状(煙や炎)がないからといって、その警告を無視してはいけません。症状がない高尿酸血症の段階を「無症候性高尿酸血症」と呼びます。この時期は、体内で静かに問題が進行している、いわば嵐の前の静けさです。血液という川に、尿酸という名の砂が大量に流れ込んでいる状態を想像してみてください。最初は流れに溶け込んでいますが、量が増えすぎると川底にどんどん溜まっていきます。関節の袋に溜まれば、いつ炎症を起こして痛風発作という激痛の鉄砲水を引き起こすか分かりません。腎臓というろ過装置に溜まれば、フィルターを詰まらせて機能を低下させ、最終的には腎不全という深刻な事態を招きます。血管の壁に付着すれば、血管を硬く狭くし、動脈硬化を進行させて心臓や脳の病気のリスクを高めます。この「溜まっていく」過程では、ほとんど自覚症状がないのが、この病気の最も恐ろしい点です。痛みという分かりやすいサインが出てから対策を始めるのでは、すでに体へのダメージがかなり蓄積してしまっている可能性があります。痛風発作を一度でも経験すると、生活の質は著しく低下します。また、一度傷ついた腎臓の機能や血管は、簡単には元に戻りません。だからこそ、症状が出る前の、火災報知器が鳴っているだけの段階で行動を起こすことが何よりも重要なのです。尿酸値が高いと指摘されたら、それは生活習慣を見直し、体への負担を減らすための絶好の機会です。食事のバランスを整え、適度な運動を始め、十分な水分を摂る。こうした地道な努力が、未来に起こりうる激しい痛みや深刻な病気からあなた自身を守る、最も確実な防火活動となるのです。警報音を無視せず、すぐに行動を開始しましょう。