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そもそも適応障害とはどんな病気?
「適応障害」という言葉は、メディアなどで耳にする機会も増えましたが、その具体的な内容については、まだ十分に理解されていないのが実情です。適応障害とは、その名の通り、ある特定の、そして明確な「ストレスの原因」に対して、心や体、そして行動の面で、著しい苦痛や機能の障害が生じ、社会生活に支障をきたしてしまっている状態を指します。重要なのは、その不調の引き金となる「ストレスの原因」が、はっきりと特定できる、という点です。例えば、職場の異動や、過重な労働、人間関係のトラブル、あるいは、転校や、結婚、近親者との死別といった、人生の大きな変化などが、その引き金となり得ます。症状の現れ方は、実に様々で、一人一人異なります。精神的な症状としては、憂鬱な気分や、涙もろさ、将来への過剰な不安感、焦燥感、そして何事にも興味が持てなくなる、といったものが挙げられます。身体的な症状としては、不眠や、食欲不振、あるいは過食、頭痛、腹痛、動悸、めまい、そして全身の倦怠感などが現れることもあります。また、行動面での変化として、遅刻や欠勤が増えたり、人との交流を避け、引きこもりがちになったり、あるいは、普段はしないような、無謀な運転や、喧嘩っ早くなるといった、問題行動として現れることもあります。うつ病と混同されがちですが、適応障害の大きな特徴は、ストレスの原因となっている特定の状況や、出来事から離れると、症状が比較的速やかに改善する傾向がある、という点です。しかし、だからといって、決して「気合で治る」ような、甘い病気ではありません。放置すれば、症状が慢性化し、本格的なうつ病へと移行してしまう可能性も十分にあります。もし、あなたの心と体に、思い当たるサインが現れているのであれば、それは決して、あなたの心が弱いからではありません。専門家の助けを借りて、適切に休息し、対処すべき、体からの重要なSOSなのです。
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私が甲状腺の病気と診断されるまで何科か悩んだ日々
今振り返ると、私の体に異変が起き始めたのは半年前のことでした。始まりは、朝起きられないほどの強烈なだるさでした。十分な睡眠時間を確保しているはずなのに、まるで鉛を背負っているかのように体が重く、仕事への集中力も明らかに低下していました。周りからは「疲れているんじゃない?」と心配されましたが、これはいつもの疲れとは何かが違う、と直感的に感じていました。それから、肌の乾燥がひどくなり、髪の毛もパサつくようになりました。何より不可解だったのは、食事量を減らしているにもかかわらず、体重がじわじわと増え続けたことです。インターネットで自分の症状を検索すると、出てくるのは「更年期」「自律神経失調症」「うつ病」といった言葉ばかり。確かに年齢的にも当てはまるのかもしれない、と思いながらも、腑に落ちない気持ちが募るばかりでした。そんな時、ふと「甲状腺」というキーワードが目に留まりました。調べてみると、甲状腺機能低下症の症状が、驚くほど自分の状態と一致していたのです。これかもしれない、と確信に近いものを感じましたが、次なる壁は「何科に行けばいいのか」という問題でした。近所の病院の案内を見ても、「内分泌内科」なんて看板は見当たりません。婦人科に行くべきか、それともまずは総合的な内科なのか。数日間、スマートフォンを片手に悩み続けました。結局、一番身近だったかかりつけの内科クリニックに電話で相談してみることにしました。受付の方に症状を伝えると、「一度、血液検査をしてみましょう」と促され、ようやく受診する決心がつきました。結果、甲状腺ホルモンの数値に異常が見つかり、すぐに専門医のいる総合病院を紹介されました。あの時、勇気を出して電話して本当に良かったと心から思います。もし同じように悩んでいる女性がいたら、一人で抱え込まず、まずは身近な内科に相談することから始めてほしいと伝えたいです。