訪問診療・看護・介護サービスの選び方と利用法

2025年9月
  • 喉のブツブツで病院へ行くべき危険なサイン

    医療

    喉にブツブツができて痛む時、多くは数日で自然に治るウイルス性の夏風邪ですが、中には重症化のサインや、緊急を要する危険な病気が隠れている可能性もあります。自己判断で様子を見るのではなく、以下に挙げるような「危険なサイン(レッドフラッグサイン)」が見られた場合は、直ちに医療機関を受診することが重要です。まず、最も警戒すべき症状が、「呼吸の異常」です。喉の腫れが非常に強く、「息がしにくい、呼吸が苦しい」「息を吸う時にゼーゼー、ヒューヒューという異常な音がする」「よだれが飲み込めず、口から垂れ流している」といった症状は、喉の奥にある喉頭蓋(こうとうがい)という部分に急激な炎症が起こる「急性喉頭蓋炎」の可能性があります。これは、気道が完全に塞がれて窒息する危険がある、極めて緊急性の高い状態です。次に、「水分補給が全くできない」場合です。喉の痛みのために、つばさえ飲み込めず、水分を一切受け付けない状態が続くと、特に乳幼児は容易に脱水症状に陥ります。「半日以上おしっこが出ていない」「唇がカサカサに乾いている」「ぐったりして活気がない」といった脱水のサインが見られたら、点滴による水分補給が必要なため、速やかな受診が必要です。また、「39度以上の高熱が3日以上続く」場合も、注意が必要です。ウイルス性の夏風邪の熱は、通常2~3日で解熱傾向になります。高熱が長引く場合は、細菌感染の合併や、川崎病など他の重篤な病気の可能性も考えなければなりません。さらに、「意識の状態がおかしい」場合も、極めて危険な兆候です。「呼びかけへの反応が鈍い、意識がもうろうとしている」「激しい頭痛と、繰り返す嘔吐がある」「けいれんを起こした」といった症状は、髄膜炎や脳炎といった、中枢神経系の合併症を強く疑うサインです。これらの症状が一つでも見られた場合は、夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。ほとんどの場合は心配ない経過をたどりますが、万が一の事態に備え、これらの危険なサインを頭に入れておくことが、子どもの命と健康を守るために何よりも大切です。

  • 手足口病でも喉にブツブツができる?

    医療

    夏風邪の代表格であるヘルパンギーナと手足口病は、どちらも同じエンテロウイルス属のウイルスが原因となることが多く、発熱や口の中の発疹といった共通の症状を持つため、しばしば混同されることがあります。手足口病でも、ヘルパンギーナと同様に、喉に痛みを伴うブツブツ(水疱や潰瘍)ができるため、注意深い観察が必要です。手足口病の最大の特徴は、その名の通り、口の中の発疹に加えて、「手のひら」や「足の裏、足の甲」、そして時には「お尻」や「膝」など、体の末端部分にも特徴的な発疹が現れることです。したがって、子どもが喉の痛みを訴え、口の中にブツブツを見つけたら、必ず手と足を入念にチェックすることが、鑑別のための最初のステップとなります。口の中の所見にも、若干の傾向の違いが見られます。ヘルパンギーナの発疹が、主に喉の奥の、のどちんこ周辺や上顎の柔らかい部分(軟口蓋)に限局してできるのに対し、手足口病の場合は、喉の奥だけでなく、舌や頬の内側の粘膜、歯茎といった、より口の前方の広範囲に発疹ができやすいという特徴があります。このため、ヘルパンギーナの痛みは主に飲み込む時の痛み(嚥下痛)ですが、手足口病では、舌や頬の潰瘍の痛みで、食べ物を口の中で動かすこと自体が困難になることもあります。どちらの病気もウイルス性であるため、治療法は、解熱鎮痛薬などを用いた対症療法が中心という点では同じです。しかし、手足口病の原因ウイルスの一つであるエンテロウイルス71は、稀に髄膜炎や脳炎といった重篤な中枢神経系の合併症を引き起こすことが知られており、ヘルパンギーナよりも、より注意深い経過観察が必要とされることがあります。喉のブツブツに加え、手足にも発疹を見つけた場合は、手足口病の可能性を考え、速やかに小児科を受診し、正しい診断を受けるようにしましょう。

  • 5歳でも重症化する?注意すべき危険なサイン

    医療

    RSウイルス感染症は、一般的に年齢が上がるにつれて軽症化する傾向にあり、健康な5歳児であれば、多くは重篤な状態に陥ることなく回復します。しかし、「5歳だから絶対に安心」というわけでは決してありません。特に、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っている子どもや、心臓や肺に基礎疾患がある子ども、あるいは免疫不全の状態にある子どもは、5歳であっても重症化するリスクを常に念頭に置いておく必要があります。保護者の方が、家庭での看病中に注意深く観察し、重症化の兆候である「危険なサイン」を見逃さないことが何よりも重要です。最も注意すべきサインは、「呼吸の状態の悪化」です。RSウイルスは、細気管支炎を引き起こし、肺の奥の空気の通り道を狭くします。これにより、呼吸困難の症状が現れます。具体的には、以下の点に注意してください。①喘鳴(ぜんめい): 息を吐く時に、胸から「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という、苦しそうな音が聞こえる。②多呼吸・頻呼吸: 呼吸の回数が、明らかに普段よりも速く、浅くなっている。(安静時の呼吸数が1分間に40回を超える場合は要注意)③陥没呼吸: 息を吸う時に、鎖骨の上や、肋骨の間、みぞおちの部分が、ペコペコとへこむ。これは、呼吸をするために補助的な筋肉を必死に使っている証拠です。④チアノーゼ: 血液中の酸素が不足し、唇や顔色、爪の色が、青紫色や土色っぽく悪くなる。⑤無呼吸: 呼吸が一時的に止まってしまう。これらの呼吸困難のサインが一つでも見られた場合は、気管支拡張薬の吸入や、酸素投与といった専門的な治療が必要なため、夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診してください。また、呼吸困難に加えて、「水分がほとんど摂れず、ぐったりしている」「半日以上おしっこが出ていない」といった、強い脱水症状がある場合も、入院治療が必要となる可能性があります。5歳の子どものRSウイルスは、油断せず、常に呼吸状態を注意深く見守ることが、親の最も大切な役割です。

  • 喉のブツブツで何科に行けばいいの?

    医療

    風邪をひいて喉にブツブツができた時、症状のつらさもさることながら、どの診療科を受診すればよいか迷うことも多いでしょう。適切な診療科を選ぶことは、正しい診断と効果的な治療への第一歩です。受診すべき診療科は、主に患者さんの年齢と、喉以外の症状の有無によって判断します。まず、患者さんが乳幼児や小学生といった「子ども」である場合は、第一選択となるのは、かかりつけの「小児科」です。小児科医は、子どもの病気全般の専門家であり、ヘルパンギーナや手足口病、溶連菌感染症といった、喉にブツブツができる子どもの代表的な感染症の診断と治療に最も精通しています。また、子どもの全身状態を評価し、脱水症状の有無や、稀な合併症の兆候を見抜く上でも、最も頼りになる存在です。発熱や咳、鼻水といった他の症状も含めて、総合的に診察してもらえるため、まずは小児科を受診するのが最も安心で確実な方法です。一方、患者さんが中学生以上の「大人」である場合は、「内科」または「耳鼻咽喉科」が主な選択肢となります。発熱や全身の倦怠感といった全身症状が強い場合は、まず「内科」を受診して、全身的な視点から診断してもらうのが良いでしょう。内科では、喉の診察に加え、必要に応じて血液検査や胸部レントゲン撮影なども行い、他の病気の可能性も探ってくれます。それに対して、喉の痛みや腫れ、飲み込みにくさといった、喉の局所症状が特に強い場合は、「耳鼻咽喉科」の受診がより適しています。耳鼻咽喉科医は、喉の専門家であり、ファイバースコープなどの専門的な器具を用いて、喉の奥の状態をより詳細に観察することができます。これにより、扁桃炎の程度や、稀な喉の腫瘍などとの鑑別を、より正確に行うことが可能です。また、喉の炎症を直接抑えるための吸入治療(ネブライザー)など、専門的な処置を受けられるというメリットもあります。迷った場合は、まずかかりつけの内科に相談し、必要であれば耳鼻咽喉科を紹介してもらう、という流れも良いでしょう。

  • 蕁麻疹の検査と治療、皮膚科・小児科での流れ

    医療

    子どもが蕁麻疹で皮膚科や小児科を受診した場合、どのような検査や治療が行われるのでしょうか。その流れを知っておくことで、安心して診察に臨むことができます。まず、診断の基本となるのが、非常に詳細な「問診」です。医師は、①いつから発疹が出たか、②発疹の形や大きさ、出たり消えたりするか、③かゆみの程度、④発疹が出る前に、何かいつもと違うものを食べたか、薬を飲んだか、どこかへ出かけたか、⑤過去に同じような症状があったか、⑥アレルギー歴や家族歴はあるか、といったことを詳しく質問します。この問聞が、蕁麻疹の原因を推測する上で、最も重要な情報となります。次に、「視診」で、発疹の性状や分布を直接観察します。蕁麻疹の診断は、ほとんどの場合、この特徴的な皮膚症状と、詳しい問診によって下されます。原因として特定の食物アレルギーなどが強く疑われる場合には、「血液検査」で、その食物に対する特異的IgE抗体の量を測定することがあります。ただし、血液検査で陽性であっても、必ずしもそれが原因とは限らず、結果の解釈には専門的な判断が必要です。原因アレルゲンを特定するために、皮膚に直接アレルゲンエキスを垂らして反応を見る「皮膚プリックテスト」や、実際に疑わしい食物を少量ずつ摂取してみる「食物経口負荷試験」が、アレルギー専門医のもとで行われることもあります。治療の主役となるのは、「抗ヒスタミン薬」の内服です。蕁麻疹のかゆみや発疹の原因となる、ヒスタミンの働きをブロックすることで、つらい症状を効果的に抑えます。子どもにも安全に使える、眠気の少ない第二世代の抗ヒスタミン薬が、主に用いられます。症状が治まっても、医師の指示に従い、数日間は服用を続けることが、再燃を防ぐために重要です。塗り薬については、かゆみを和らげる効果は限定的ですが、掻き壊しを防ぐ目的で、弱いステロイド外用薬や、非ステロイド系のかゆみ止めが処方されることもあります。もちろん、アナフィラキシーのような重篤な症状がある場合は、アドレナリンの筋肉注射など、救急治療が最優先されます。