訪問診療・看護・介護サービスの選び方と利用法

2025年9月
  • 私が体験した大人のヘルパンギーナ闘病記

    知識

    「ただの夏風邪」と侮っていた私に、人生最大級の痛みが襲いかかったのは、3年前の夏のことでした。当時3歳だった息子が保育園でヘルパンギーナと診断され、その数日後、私にも39度を超える高熱が出ました。インフルエンザのような悪寒と関節痛に耐えながら、鏡で喉を覗いて愕然としました。喉の奥、のどちんこの周りに、びっしりと白い口内炎ができていたのです。それが、地獄の始まりでした。喉の痛みは、尋常ではありませんでした。唾を飲み込むという、普段は無意識に行っている行為が、毎回、覚悟を決めなければできない苦行となりました。ゴクリと音を立てるたびに、喉の奥で無数のガラスの破片が突き刺さるかのような激痛が走り、思わずうめき声が漏れます。食事はもちろんのこと、水分補給すら困難を極めました。妻が心配して買ってきてくれた栄養補助ゼリーですら、喉を通過する瞬間の刺激で涙が出るほどの痛みでした。夜は、痛みで1時間おきに目が覚め、全く眠ることができません。痛みと高熱、そして寝不足で、意識はもうろうとしていました。発症から3日目、体力も精神力も限界に達した私は、かかりつけの内科を再受診し、脱水症状を指摘されて点滴を受けることになりました。冷たい生理食塩水が血管に入っていくのを感じながら、私は「大人がかかると、ここまで重症化するのか」と、子どもの病気と甘く見ていたことを心から後悔しました。幸い、点滴と強力な鎮痛剤のおかげで、その日の夜からは少しずつ水分が摂れるようになり、回復の兆しが見え始めました。喉の痛みが完全に消えるまでには、1週間以上かかりましたが、あの地獄のような3日間の痛みは、今でも忘れられません。

  • かかとがジンジンしびれる、神経が原因の痛み

    医療

    かかとの痛みが、鋭い痛みだけでなく、「ジンジン」「ピリピリ」としたしびれや、焼けるような灼熱感を伴う場合、それは筋肉や腱の問題ではなく、「神経」が圧迫されたり、障害されたりしていることが原因かもしれません。かかとの感覚を支配している神経にトラブルが生じると、このような特徴的な症状が現れます。まず、足首のあたりで神経が圧迫されることで、かかとにしびれや痛みが起こる病気があります。代表的なのが、足の内側のくるぶしの後ろにある「足根管」というトンネルの中で、神経(後脛骨神経)が圧迫される「足根管症候群」です。これは、足の裏全体にしびれが広がることが多いですが、その後脛骨神経から分岐し、かかとの内側の感覚を支配する神経だけが、個別に圧迫されることもあります。また、より稀ですが、「バクスター神経障害」と呼ばれる、かかとの底へ向かう特定の神経(内側足底神経第一枝)が、筋肉や靭帯の間で圧迫される病気もあります。これは、足底腱膜炎と症状が非常に似ていますが、痛みが内側のかかとに限定され、しびれ感を伴うのが特徴で、診断が難しいことがあります。そして、かかとのしびれの原因として、忘れてはならないのが、足から離れた「腰」に原因があるケースです。腰の骨(腰椎)で、神経の根元が圧迫される「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」では、お尻から足の後面にかけて広がる「坐骨神経痛」が生じます。この坐骨神経の痛みやしびれが、他の部分にはあまり症状が出ず、かかとに最も強く感じられることがあるのです。この場合、腰痛を自覚していることもあれば、腰の症状はほとんどなく、かかとの症状だけが気になる、ということも少なくありません。神経が原因の痛みが疑われる場合、受診すべきは「整形外科」または「脳神経外科・内科」です。診断のためには、神経の圧迫部位を特定するために、MRI検査や、神経が電気信号を伝える速度を調べる「神経伝導速度検査」など、専門的な検査が必要となります。治療は、原因に応じて、薬物療法や神経ブロック注射、そして場合によっては手術が検討されます。

  • 朝の一歩目が激痛、足底腱膜炎を徹底解説

    医療

    かかとの痛みを訴える人の中で、最も多く見られる疾患が「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」です。この病気は、特に40代以降の成人に多く、ランニングやジャンプ系のスポーツを頻繁に行う人、あるいは長時間の立ち仕事に従事する人によく見られます。足底腱膜炎の最も特徴的で、診断の鍵ともなる症状が、「朝、起床してベッドから降り、最初の一歩を踏み出した瞬間に、かかとに針で刺すような、あるいは引き裂かれるような鋭い激痛が走る」ことです。この「初めの一歩の痛み(first step pain)」は、しばらく歩いているうちに、足底腱膜がストレッチされることで、徐々に和らいでいく傾向があります。しかし、長時間座っていた後や、車から降りた後など、しばらく動かなかった後に再び歩き始めると、また同じように強い痛みがぶり返します。この痛みの原因は、足の裏にある「足底腱膜」という、かかとの骨(踵骨)から足の指の付け根まで、扇状に広がっている強靭な繊維状の膜にあります。足底腱膜は、足のアーチ(土踏まず)を弓の弦のように支え、歩行や走行時の着地の衝撃を吸収する、極めて重要なクッションの役割を担っています。しかし、加齢によってこの腱膜の柔軟性が失われたり、過度な運動や体重増加によって繰り返し大きな負担がかかったりすると、腱膜がかかとの骨に付着する部分で、微細な断裂や炎症が生じます。これが、足底腱膜炎の正体です。夜間、寝ている間は、足底腱膜は縮んだ状態で修復されようとしますが、朝、急に体重がかかることで、修復しかけた組織が再び引き伸ばされて断裂し、激痛が生じるのです。診断は、主に特徴的な症状の問診と、かかとの骨の内側やや前方を指で押すと強い痛みがあるか(圧痛点)を確認することで行われます。治療の基本は、ストレッチングで足底腱膜やアキレス腱の柔軟性を高めること、そしてインソール(足底挿板)を用いて足への負担を軽減することです。

  • かかとの骨に異常?疲労骨折と骨棘

    医療

    かかとの痛みの原因が、腱膜やアキレス腱といった軟部組織だけでなく、かかとの骨(踵骨)そのものにある場合もあります。特に、スポーツを熱心に行っている人や、長時間の立ち仕事をしている人は、注意が必要です。その代表的な疾患が「踵骨疲労骨折」です。疲労骨折は、一度の大きな外力で骨が折れる通常の骨折とは異なり、骨の同じ場所に、繰り返し小さなストレスがかかり続けることで、骨に微細なひびが入ってしまう状態です。マラソンや長距離走、ジャンプを多用する競技の選手などが、トレーニング量を急に増やした時などに発症しやすいです。症状は、運動中や運動後のかかとの鈍い痛みとして現れ、初めは軽い痛みですが、運動を続けるうちに徐々に痛みが強くなり、やがて日常生活の歩行でも痛みを感じるようになります。かかと全体が腫れぼったくなり、かかとを横から挟むように圧迫すると、強い痛みが生じるのが特徴です(squeeze test)。診断は、レントゲンでは初期には変化が現れないことが多く、MRI検査が非常に有用です。治療は、原因となっている運動を完全に中止し、骨が癒合するまでの数週間から数ヶ月間、免荷(体重をかけないこと)あるいは荷重を制限することが絶対的に必要です。次に、中高年のかかとの痛みで、レントゲンを撮るとよく見つかるのが、「踵骨骨棘(しょうこつこつきょく)」です。これは、足底腱膜がかかとの骨に付着する部分で、腱膜に引っ張られる刺激が長期間続くことによって、骨がトゲのように異常増殖したものです。足底腱膜炎の患者さんによく見られますが、この骨棘そのものが、直接痛みの原因となっているわけではない、と考えられています。骨棘があっても全く痛みがない人もいれば、骨棘がないのに強い足底腱膜炎の症状がある人もいます。したがって、骨棘が見つかったとしても、治療の対象は、骨棘そのものではなく、その背景にある足底腱膜炎ということになります。

  • 水疱瘡の発疹、出現場所と変化のプロセス

    医療

    水疱瘡の症状の中で、最も特徴的で、患者本人や家族を悩ませるのが、全身に出現する「発疹」です。この発疹の出現パターンと、時間と共に変化していく様子を詳しく見ていきましょう。発疹の出現は、多くの場合、体幹部であるお腹や背中、そして顔から始まります。最初に現れるのは、虫刺されのような、直径2~3mm程度の赤い小さなブツブツ(紅斑)です。この時点では、他の発疹症との区別は難しいかもしれません。しかし、水疱瘡の発疹の変化は非常に早く、この紅斑は、出現してからわずか半日から1日の間に、その中心部がみずみずしく透き通った「水ぶくれ(水疱)」へと変化します。この水疱は、まるで涙のしずくが皮膚に乗っているかのように見え、楕円形をしていることが多いです。水疱の周りは、赤く縁どられています。そして、この水疱期が、最も強いかゆみを伴う時期です。子どもは、この我慢できないかゆみのために、患部を掻きむしってしまいがちです。次に、水疱の中身は、徐々に白く濁っていき、膿を持った「膿疱(のうほう)」へと変わっていきます。この膿疱は、やがて自然に破れるか、乾燥してしぼんでいき、最終的には茶色っぽい「かさぶた(痂皮)」を形成します。このかさぶたが、自然に剥がれ落ちれば、通常は跡を残さずに治癒します。しかし、かゆみのために水疱を掻き壊してしまったり、かさぶたを無理に剥がしてしまったりすると、皮膚の深い層まで傷が及び、細菌による二次感染を起こしたり、クレーターのような瘢痕(はんこん)が残ってしまったりする原因となります。水疱瘡の発疹で最も重要な特徴は、これらの「紅斑・水疱・膿疱・痂皮」という異なるステージの発疹が、次々と出現してくるため、病気のピーク時には、体の同じエリアに、これらの新旧の発疹が同時に混在して見られることです。発疹は、最初に現れた体幹部や顔から、次第に頭皮(髪の毛の中)、手足の末端へと広がっていきます。口の中や、目の粘膜、性器といった粘膜部分にも、水疱ができて潰瘍(口内炎)になることもあり、食事や排尿時に痛みを伴うこともあります。

  • 喉のブツブツと痛みを和らげるセルフケア

    生活

    風邪で喉にブツブツができて痛い時、病院で処方された薬を服用すると共に、家庭でのセルフケアを適切に行うことが、つらい症状を和らげ、回復を早めるための大きな助けとなります。特に、ヘルパンギーナのように、喉の痛みが非常に強い病気では、食事や環境の工夫が不可欠です。まず、最も重要なのが「水分補給」です。発熱で体内の水分は失われ、喉の痛みで飲むのが億劫になりがちですが、脱水は体力を奪い、回復を遅らせます。水やお茶、麦茶などを、一度にたくさん飲むのではなく、少量ずつ、こまめに飲むようにしましょう。経口補水液は、水分と電解質を効率よく補給できるため、特におすすめです。次に、「食事の工夫」です。喉のブツブツ(潰瘍)を刺激しないよう、「冷たくて、喉ごしが良く、味が薄いもの」を基本に考えましょう。ゼリーやプリン、ヨーグルト、アイスクリーム、冷たいスープ、豆腐、茶わん蒸しなどは、痛みが強い時期でも比較的食べやすい食品です。逆に、オレンジジュースなどの酸っぱいもの、香辛料の効いた辛いもの、醤油やソースなどの塩辛いもの、そして煎餅や揚げ物といった硬いものは、激痛を引き起こすため、絶対に避けてください。また、室内の「加湿」も、喉のケアには非常に有効です。空気が乾燥していると、喉の粘膜が乾いて痛みが悪化しやすくなります。加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして、部屋の湿度を50~60%程度に保つようにしましょう。マスクの着用も、自分の呼吸で喉を潤す効果があり、おすすめです。そして、何よりも大切なのが「十分な休養」です。体を温かくして、ゆっくりと眠ることが、ウイルスや細菌と戦う免疫力を高めるための最良の薬となります。これらのセルフケアは、あくまで症状を緩和するための補助的な手段です。症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、必ず医療機関を再受診してください。

  • 「様子を見てOK」な蕁麻疹と家庭での対処法

    生活

    子どもの体に蕁麻疹が出た時、全てのケースで慌てて病院に駆け込む必要はありません。多くの場合、蕁麻疹は一過性のもので、家庭での適切なケアで症状を和らげながら、自然に消えるのを待つことができます。では、どのような蕁麻疹であれば、ひとまず「様子を見て良い」と判断できるのでしょうか。その目安は、蕁麻疹以外の全身症状がなく、子ども本人が比較的元気であることです。具体的には、①皮膚の発疹(膨疹)とかゆみ以外の症状がない、②機嫌がそれほど悪くなく、普段通りに遊んだり、会話したりできる、③食事や水分がいつも通りに摂れている、といった状態です。このような場合は、まず家庭でのセルフケアを試みましょう。家庭での対処法の基本は、「冷やす」ことと「刺激を避ける」ことです。蕁麻疹のかゆみは、皮膚の血管が拡張し、温まることで強くなります。そのため、かゆがっている部分を、冷たい水で濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤などで、短時間(数分程度)冷やしてあげると、血管が収縮し、かゆみが和らぎます。ただし、冷やしすぎは凍傷の原因になるため注意が必要です。また、かゆいからといって、掻き壊してしまうと、皮膚が傷ついて症状が悪化したり、細菌感染(とびひなど)を起こしたりする原因になります。子どもの爪は短く切り、清潔に保つようにしましょう。入浴は、熱いお湯に長く浸かると、体温が上がってかゆみが強くなるため、ぬるめのシャワーで汗や汚れをさっと洗い流す程度にするのが無難です。体を洗う際も、石鹸をよく泡立てて、手で優しくなでるように洗い、ゴシゴシこすらないようにします。服装は、肌触りの良い綿素材の、ゆったりとしたものを選び、皮膚への刺激を最小限に抑えましょう。原因として、特定の食べ物や新しい薬を摂取した直後に蕁麻疹が出たなど、明らかな心当たりがある場合は、その原因物質を記録しておき、今後の摂取を避けることが重要です。これらの対処法でかゆみが和らぎ、発疹が数時間から24時間以内に自然に消えていくようであれば、緊急受診の必要性は低いと考えられます。

  • 慢性蕁麻疹とは?長引くかゆみとの付き合い方

    生活

    蕁麻疹は、ほとんどの場合、数日で治まる「急性蕁麻疹」ですが、中には、毎日のように出たり消えたりを繰り返し、その状態が6週間以上も続くケースがあります。これを「慢性蕁麻疹」と呼びます。子どもの慢性蕁麻疹は、大人に比べると頻度は低いですが、長引くかゆみは、子どもの睡眠や集中力を妨げ、生活の質(QOL)を大きく低下させます。慢性蕁麻疹は、特定の原因がなかなか見つからない「特発性」のものがほとんどです。食物アレルギーが原因であることは非常に稀で、背景には、自己免疫の異常(自分の体の成分に対して抗体ができてしまう)や、ストレス、生活習慣の乱れなどが複雑に関与していると考えられています。そのため、治療は、原因を追求すること以上に、症状をコントロールし、日常生活を快適に送ることを目標とします。治療の基本は、急性蕁麻疹と同様に、「抗ヒスタミン薬」の内服です。しかし、慢性蕁麻疹の場合は、症状が出た時だけ薬を飲むのではなく、症状がなくても、毎日決まった時間に薬を服用し続け、蕁麻疹が出ない状態を維持する「予防的内服」が重要となります。最初は標準的な量の抗ヒスタミン薬から開始し、効果が不十分な場合は、医師の判断で、薬の量を増やしたり(倍量投与)、種類の違う薬を組み合わせたりします。近年では、従来の抗ヒスタミン薬で効果が見られない、難治性の慢性蕁麻疹に対して、「オマリズマブ(商品名:ゾレア)」という注射薬も、小児への適応が拡大されました。これは、アレルギー反応の鍵となるIgEという抗体に作用する生物学的製剤で、高い効果が期待できます。薬物療法と並行して、悪化因子を見つけて避けることも大切です。「頭痛薬で蕁麻疹が悪化する」「疲れると出やすい」など、自分なりのパターンに気づくことができれば、それを避けることで、症状をコントロールしやすくなります。慢性蕁麻疹の治療は、数ヶ月から時には数年単位の、根気のいる付き合いになることもあります。焦らず、信頼できる皮膚科医やアレルギー専門医と二人三脚で、じっくりと治療に取り組むことが大切です。

  • 内臓の病気が肩に痛みを引き起こす?内科・循環器科の役割

    医療

    肩の痛みというと、筋肉や骨のトラブルを真っ先に考えがちですが、ごく稀に、全く別の場所にある「内臓」の病気が、関連痛(放散痛)として肩に痛みのサインを送ってくることがあります。これらは見逃すと命に関わる危険な病気である可能性もあるため、その特徴を知っておくことは非常に重要です。このような内臓由来の肩の痛みを疑う場合、受診すべきはそれぞれの臓器を専門とする「内科」系の診療科です。まず、最も警戒すべきが「心臓」の病気、特に「狭心症」や「心筋梗塞」です。これらの病気は、心臓に血液を送る血管が狭くなったり詰まったりすることで起こり、典型的な症状は胸の圧迫感や締め付けられるような痛みです。しかし、この痛みは、左肩や左腕、首、顎にまで広がることがあり、これを放散痛と呼びます。もし、階段を上るなど体を動かした時に、胸の不快感と共に、左肩に重苦しい痛みが現れ、休むと治まる、といった症状があれば、狭心症の可能性があります。安静にしていても痛みが続く場合は、心筋梗塞の危険性が高く、直ちに「循環器内科」を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。次に、「胆嚢」の病気、特に「胆石症」や「胆嚢炎」も、肩に痛みを引き起こすことがあります。胆嚢は右上腹部にありますが、その炎症の刺激が、横隔膜を介して右肩の神経に伝わり、右肩に強い痛みを感じることがあるのです。右上腹部痛や背部痛、発熱、吐き気といった症状と共に、右肩の痛みがある場合は、これを疑い、「消化器内科」を受診する必要があります。また、肺の病気、例えば肺のてっぺんにできた「肺がん(パンコースト腫瘍)」が、腕へ向かう神経を巻き込むことで、肩や腕に持続的な激しい痛みを引き起こすこともあります。長引く咳や血痰、体重減少などの症状を伴う場合は、「呼吸器内科」での精査が必要です。これらの内臓由来の痛みは、肩を動かしても痛みが変わらない、安静にしていても痛む、といった特徴があります。もし、通常の肩の痛みとは違う、何かおかしいと感じたら、内科医に相談するという視点を持つことが大切です。

  • まとめ。切り傷で迷ったら、どう考え、どう行動すべきか

    知識

    日常生活で切り傷を負ってしまった時、その大小にかかわらず、冷静に、そして適切に行動することが、スムーズな回復への鍵となります。ここでは、これまでの内容を総括し、「切り傷」で悩んだ際に、どのように考え、どの診療科を目指すべきかの行動指針を整理します。まず、Step 1として、「応急処置と緊急性の判断」です。どんな切り傷でも、まず行うべきは「流水での洗浄」と「圧迫止血」です。そして、止血をしながら、病院へ行くべきかを見極めます。「5分以上圧迫しても出血が止まらない」「傷が深く、脂肪や筋肉が見える」「関節の上で、パックリ開いている」「手足の感覚がおかしい、動かせない」といった場合は、緊急性が高いと判断し、直ちに医療機関を受診する必要があります。次に、Step 2として、「どこを、何を重視するか」で診療科を選びます。①傷跡をできるだけきれいに治したい、特に顔の傷: この場合は、傷の修復のスペシャリストである「形成外科」が最も理想的な選択肢です。②手足の深い傷で、しびれや動きの悪さを伴う: 神経や腱の損傷を疑い、四肢の機能回復を専門とする「整形外科」が第一選択です。③比較的浅い傷、あるいは感染が心配な汚れた傷: 傷の処置と感染管理の専門家である「皮膚科」が適しています。④腹部など、内臓損傷の可能性も否定できない深い傷: この場合は、総合的に診察できる「外科」が対応します。Step 3は、「子どもの場合」の考え方です。まず、かかりつけの「小児科」に相談するのが基本です。縫合が必要そうな場合は、「形成外科」が、傷跡の面からも、子どもの対応の面からも、最も安心して任せられるでしょう。そして、Step 4として、「受診すべきか迷う程度の軽い傷」の場合です。この場合は、正しい応急処置(洗浄と保護)を行い、数日間、傷の周りが赤く腫れてきたり、痛みが強くなったりしないか、感染の兆候に注意深く観察します。少しでも悪化する傾向があれば、迷わず皮膚科などを受診してください。切り傷は、初期対応がその後の経過を大きく左右します。この思考プロセスを参考に、ご自身の、あるいはご家族の状況に合わせて、最適な行動を選択してください。