腕を上げると肩に激痛が走る、夜中に痛みで目が覚める、あるいは何もしなくても肩が重苦しく痛む。多くの人が経験する「肩の痛み」は、日常生活の質を著しく低下させるつらい症状です。その原因は、単純な筋肉痛から、加齢に伴う関節の変化、さらには内臓の病気が隠れていることまで、実に多岐にわたります。そのため、適切な治療を受けるためには、自分の痛みの原因が何であるかを推測し、正しい診療科を選ぶことが何よりも重要になります。結論から言うと、肩の痛みの診断と治療において、中心的な役割を担う診療科は「整形外科」です。整形外科は、肩関節を構成する骨や軟骨、そしてその周りを取り巻く筋肉や腱、靭帯といった「運動器」の専門家であり、肩の痛みの原因として最も多い「四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)」や「腱板断裂」などを扱います。しかし、症状によっては、他の診療科の受診が必要となるケースもあります。例えば、首の痛みと共に、肩から腕にかけてしびれが広がる場合は、首の骨(頸椎)に原因がある可能性があり、整形外科や「脳神経外科」が専門となります。また、稀ではありますが、心臓や肺、胆嚢といった内臓の病気の痛みが、関連痛として肩に現れることもあります。この場合は、「循環器内科」や「呼吸器内科」、「消化器内科」など、それぞれの内臓の専門科での精査が不可欠です。この記事シリーズでは、肩の痛みを引き起こす様々な原因とその特徴、そしてそれぞれに対応する専門診療科について詳しく解説し、あなたのつらい痛みの原因究明と、適切な医療機関への受診をサポートします。